蒼鷺
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投稿数
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古書店で太宰を一つ手にとった その気にさせる秋の長雨
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「明日もまたここにいるよ。」というように薄暮の空で星が瞬く
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明日あすからはまたも不遇な宮仕え 光っているか?雲上の月
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唯一の人類だった5分だけ 森に埋もれた無人駅にて
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噛みちぎるマルゲリータのLサイズ あいつのスマホ覗き見た夜
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「いつ紅くなればよいか?」と問う君は空き家の庭のモミジの巨木
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そらんじよ七言古詩の長恨歌 聞いてくれぬか秋の虫ども
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いつもなら墓石のそばに曼珠沙華 一本もない今年の彼岸 /猛暑のせい?
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秋風がかさりと揺らす蟷螂とうろうの光なき目に映る青空
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君は今どこから月を見ているの?誰を想って見上げているの?
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丁寧じゃない暮らしでもいいじゃない 鍋からすするうどんは熱く
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いつもより高い気がする青空をひらりひらりと舞うチョウトンボ
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上弦の月が羨むほど白いさるすべり咲く夕刻の庭
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あの雨の後から蝉の声はせずアナウンサーの話す声だけ
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おそなえのハッピーターン食べたくて祖母と唱えた般若心経
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いつもより多い気がする狐火が境内を舞う祭礼の夜
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今もなお森の奥にてさまよえる君の御魂みたまをまつ烏猫からすねこ
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短冊に書けぬ願いを銀漢の底に沈める 今日は七夕
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織姫と彦星くらい離れたら夫婦喧嘩のやりようもなし
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青空の一朶いちだの雲が白いから残夜の坂ものぼっていける
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あめつちの猫の模様を集めたら宇宙の謎も解ける気がする
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朝7時天気予報を聞くように命はただの数字になった
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天空に積乱雲が見えたから「竜の巣だ…。」とそっとつぶやいた
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売り物のミカンの木の葉をむさぼる彼らが蝶になれますように
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紫陽花の名前がダンスパーティーだから雨だけど踊ってほしい
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あなたから離したでしょう?私の手 今さらそんな顔されてもね
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葉陰から青梅が顔のぞかせる そろそろ納屋で瓶を探そう
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朝ぼらけらずの雨を祈りつつ澄ました顔でコーヒーを
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「恐竜は元気だろうか?」もうずっとシーラカンスは考えている
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心あてに選んでみようコンビニで人惑わせるスイーツの棚
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