友一
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病室の白きシーツの端に見ゆ母の踵の冷たく小さし
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踵骨は小さな月のかたちして永遠という岸辺は遠く
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おめでとう笑顔で言った帰り道くるみに決めるかかと落としを
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AIが人間(ひと)の値札を剥がす夜 月の裏側で花火をあげる
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誰ひとり同じ孤独を持たぬままカーテンの裏に海月を飼へり
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好きだとは言えないままで雲になり君の頭上で雨を降らせる
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届かない想いを空に吐き出せば雨になるまで君を焦がれる
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海底に沈めた恋の熱い息 雲になるたび空を焦がして
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君を想ふ胸に積もりし熱だけが雲となりても消へず燃え立つ
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台風が来るから今日は会えません空のせいなら仕方ないよね
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飛ばされた帽子を追って走る人それを眺める風速34ノット
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ピザの箱抱えて走る配達員命がけだぞ颱風襲来
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台風が今夜町を通るらしいみんなはもうコロッケ買った?
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祝福の声に囲まれ兄は笑み弟の墓草生い茂る
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兄と僕同じ顔だと笑う君僕の恋だけ知らないままで
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神様が命を二つに分けるならお前と分け合う明日がほしい
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声に出し短歌を詠めばこだまする湯呑ひとつの小さき部屋に
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塩茄子の小鉢に落つる吊り灯影母は静かに頬張りながら
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春夏秋すべての色が弾ければ宇宙も焦がす銀河の祭典
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小(ち)さき海老大きな鯛を救う時 海は静かに朝を迎えた
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海に出て自由になったたいやきくんあんこのように甘くはなかった
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腐っても鯛だと言っていた父が三途の川で値切られている
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天道虫鳩となりては核となり鬼百合咲いてまた朝の虫
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「お元気で?」ラジオの声に返事する今日も誰とも話さなかった
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ラジオのパーソナリティーが噛んだ時世界の角が少し丸まる
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若さとか取り戻せないものよりもこれから何をしようかと思う
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焦らずになんて言うけど焦るよね人生いつも今がスタート
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追いつけぬ時の流れを見つめつつ靴紐結ぶ三月の空
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老いゆけば焦る心を抱きながら今日という日を一歩踏み出す
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荒野へと放たれし山羊振り向けば銃声ひつと風に消えゆく
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