スズキヒカルコ
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コーヒーとおまんじゅうと短歌。

「弱音吐いちゃだめだよ」と言って祖父は小遣いをくれた。私は三十路。
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ズルはしたくなかったから、何も言わないで別れたことを、後悔している。
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「でも好きだ」と結論が出た帰り道。夕風に少し涙が涼しい。
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ため息とともにトイレに入ったら、便座冷たくて、ついに泣きそう。
5
早朝の動物病院の駐車場。斜めに停まった小さな車。
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環境と動物に優しい人でいたい。人間は、そう、どうでもいいっす。
2
妄想をすることはとても好きだけど、妄想の後のため息は嫌い。
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給湯室のゴミ箱にチュッパチャプスの棒が入ってて、これ、誰なんだろう。
3
先月より少しだけ安い電気料。暖かい日が増えてきたのだ。
5
あの人はブラックコーヒー飲めるから、私は微糖を飲んで追いすがる。
3
亡き祖母の写真を入れたお財布が、こぼしたビールで濡れてしまった。
4
今朝少し嬉しいことがあったんだ。電車一本早くして良かった。
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あの人に貰った飴を、ロッカーの奥にしまっていたら、ベタベタ。
3
禁煙です、私の部屋は。あの人がもう来ないから、禁煙なんです。
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少しだけ優しくなれた日曜日。バス停のベンチでにやにや笑う。
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この間、お葬式に参列した時に、セットしたアラーム。まだ残ってた。
5
ヒトカラで、ケツメの『涙』を歌ったら、涙が止まった。たこ焼き美味い。
5
アパートの廊下。この音、この匂い。どこかで誰か、ウィンナー炒めてる。
7
グーグルに『デグー』と打ち込むそのたびに、『寿命』と候補が出てくる悲しさ。
4
カサカサの手をポケットに入れ歩く。イヤホンからはジョージ・ハリスン。
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あの家の玄関先の金魚鉢、なくなってから初めての春。
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ブラインド閉め忘れたから、ほんのりと、デスクが温い、三月の午後。
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うつむいて、歩き、仕事から帰る時、脳内に流れる『やさしくなりたい』。
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サイゼリヤ。ノートパソコン打つ人を見ながら二個目のドリアを食べる。
3
たくあんを噛む音がやけに頭の中響いているよ。ラジオをつける。
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ペットショップ。あの子のおやつを選ぶ時、一番優しい顔になってる。
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真夜中の駅の喫煙所の方から、誰かが激しく咳き込む声が。
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のり弁が冷めてしまった長電話。伯母のリハビリ、とても順調。
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確実に一生縁のない高級マンションの前、通って工場へ。
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「あれ?私、何年彼氏いないんだ?」と指折る先輩。五秒の沈黙。
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