たぬ吉
129
129
投稿数
140
あの時が 最後だったと思い出す 未来が見えて だきしめる今
26
そのへんの言葉じゃサイズが合わなくて 裸の気持ちがくしゃみをひとつ
40
好々爺 看護師さんの前でだけ 家族はむっつり 柏餅食む
35
戦後生き 戦前を生む 私たち せめて届いて カナリアの声
29
黙々と 靴見て歩く道すがら 顔を上げて と桜に言われ
43
病棟の 父への葉書に歌一首 余白で伝わるものの多かれ
26
言の葉が 胸に詰まって ヒリヒリと 痛む夜には うたかたが効く
26
10秒で 返信しないで ポストから 片道3日が ちょうどいい距離
35
そこにある 風じゃない声 耳澄ます 人差し指で評する前に
21
アスファルト 押し上げ根っこが背のびして 立って春待つ 桜の並木
29
おたよりが通じることのありがたさ 心の便秘 しませんように
21
あなたには 長生きをしてほしいから ポテチは私が食べてあげます
41
言葉では つい言い過ぎてしまうから  秋色の葉を 貼ってポストへ
23
新米のとぎ汁 植木鉢に撒く いただきますの似合う夕方
26
あおむしとダイコンの葉を分けあって 味噌汁の具は今日は少なめ
49
眠たくて 首もげそうなこの人に 右肩を貸す 次の駅まで
37
生きてれば ほめてもらえたあの頃を  夢見て眠り 目覚めて泣いた
28
脳からの 酷使に耐えて団結し  ストライキする 身体組合
30
無くなれば 満たしてくれた おやつ缶 空っぽにして まだかな と待つ
25
人生の 単位足りずに 留年し 神様からの 居残り授業
32
ゴーグルをつけて 信号待ちの子ら  すれちがう人の表情ゆるみ
25
あなただれ 娘です あらそうだった 笑えるうちに 笑えるうちに
39
父だった 人のケロリに もて余す 名もなき感情 炭酸で割る
26
ソンナコトナイヨ を多めに持参して 思春期の父のご機嫌直し
17
親を知る という科目の授業中 ここは試験に出そうなところ
23
校庭に 明るいきみどり色の筆   樹々を描いて 飛ぶ野良インコ
18
ああ言えば よかったというわだかまり コップの茶渋と一緒にこする
31
諦めと ニヒリズムへの誘惑に  負けるな踊れ 心のヘヨカ
11
目を背けたくなる世界を直視する 君を ヘヨカと呼んで見つめる
9
知ったより出逢えたという感覚で  初めての言葉 くりかえし読む
38