たぬ吉
113
113
投稿数
97
新米のとぎ汁 植木鉢に撒く いただきますの似合う夕方
26
あおむしとダイコンの葉を分けあって 味噌汁の具は今日は少なめ
47
眠たくて 首もげそうなこの人に 右肩を貸す 次の駅まで
35
生きてれば ほめてもらえたあの頃を  夢見て眠り 目覚めて泣いた
26
脳からの 酷使に耐えて団結し  ストライキする 身体組合
30
無くなれば 満たしてくれた おやつ缶 空っぽにして まだかな と待つ
24
人生の 単位足りずに 留年し 神様からの 居残り授業
30
ゴーグルをつけて 信号待ちの子ら  すれちがう人の表情ゆるみ
24
あなただれ 娘です あらそうだった 笑えるうちに 笑えるうちに
39
父だった 人のケロリに もて余す 名もなき感情 炭酸で割る
24
ソンナコトナイヨ を多めに持参して 思春期の父のご機嫌直し
15
親を知る という科目の授業中 ここは試験に出そうなところ
22
校庭に 明るいきみどり色の筆   樹々を描いて 飛ぶ野良インコ
15
ああ言えば よかったというわだかまり コップの茶渋と一緒にこする
28
諦めと ニヒリズムへの誘惑に  負けるな踊れ 心のヘヨカ
9
目を背けたくなる世界を直視する 君を ヘヨカと呼んで見つめる
7
知ったより出逢えたという感覚で  初めての言葉 くりかえし読む
33
意味ばかり 受けとる人が置いていく お気持ち 拾って洗って干して
12
中翼なかよくはめんどくさくて右左  傾きながらどこへ向かうか
10
野暮天は嫌われるから 暗示して 伝わらず 足す ※これは愛です
13
箱を描く 前に描かれたたくさんの ひつじを 私はなでてあげたい
10
やさしさの手持ちが足りないので今日は  仕入先行って直帰します
12
むずかしい言葉を並べるあの人の 落としたアリガトを拾うお仕事
13
自らの 面倒と恥を 他人事ひとごとに するしかなくて 二度童子なの
7
二度童子 背中をなでて ゆっくりと 父だった人の 母親になる
17
ニンジンの 新芽の横でニンゲンも 朝日を浴びて水を飲む今日
11
ただ会って話して食べてまた話す また会う日まで生きるとしよう
17
王様へ 裸です風邪ひきますよ  無礼者 だまれ へックション
8
台本を 繰り返し詠み さあ開演 実家劇場 ムスメその1
9
行き場ない 迷子の気持ちと 手をつなぎ 耳を澄まして 道場の朝
10