たぬ吉
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戦後生き 戦前を生む 私たち せめて届いて カナリアの声
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黙々と 靴見て歩く道すがら 顔を上げて と桜に言われ
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病棟の 父への葉書に歌一首 余白で伝わるものの多かれ
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言の葉が 胸に詰まって ヒリヒリと 痛む夜には うたかたが効く
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10秒で 返信しないで ポストから 片道3日が ちょうどいい距離
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そこにある 風じゃない声 耳澄ます 人差し指で評する前に
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アスファルト 押し上げ根っこが背のびして 立って春待つ 桜の並木
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おたよりが通じることのありがたさ 心の便秘 しませんように
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あなたには 長生きをしてほしいから ポテチは私が食べてあげます
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言葉では つい言い過ぎてしまうから  秋色の葉を 貼ってポストへ
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新米のとぎ汁 植木鉢に撒く いただきますの似合う夕方
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あおむしとダイコンの葉を分けあって 味噌汁の具は今日は少なめ
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眠たくて 首もげそうなこの人に 右肩を貸す 次の駅まで
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生きてれば ほめてもらえたあの頃を  夢見て眠り 目覚めて泣いた
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脳からの 酷使に耐えて団結し  ストライキする 身体組合
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無くなれば 満たしてくれた おやつ缶 空っぽにして まだかな と待つ
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人生の 単位足りずに 留年し 神様からの 居残り授業
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ゴーグルをつけて 信号待ちの子ら  すれちがう人の表情ゆるみ
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あなただれ 娘です あらそうだった 笑えるうちに 笑えるうちに
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父だった 人のケロリに もて余す 名もなき感情 炭酸で割る
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ソンナコトナイヨ を多めに持参して 思春期の父のご機嫌直し
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親を知る という科目の授業中 ここは試験に出そうなところ
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校庭に 明るいきみどり色の筆   樹々を描いて 飛ぶ野良インコ
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ああ言えば よかったというわだかまり コップの茶渋と一緒にこする
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諦めと ニヒリズムへの誘惑に  負けるな踊れ 心のヘヨカ
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目を背けたくなる世界を直視する 君を ヘヨカと呼んで見つめる
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知ったより出逢えたという感覚で  初めての言葉 くりかえし読む
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意味ばかり 受けとる人が置いていく お気持ち 拾って洗って干して
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中翼なかよくはめんどくさくて右左  傾きながらどこへ向かうか
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野暮天は嫌われるから 暗示して 伝わらず 足す ※これは愛です
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