忌寸宿禰
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今日の出来事や思ったこと、今までの思い出を短歌として自由に読む、二十四歳の男性です。

高砂や尾の上に立つ雛人形 残る四段の名を忘れけり
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ひな公の笑みもほころぶ春の宵 祈り重ねて花もひらく
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桃の花 灯火清きひいな棚 願の小さき皿に満てりぬ
8
軒うつる雫の音も晴れやかに ついに聞きつる春の初音ぞ
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春雨の雫したたる東屋に 晴るはここぞと鶯の鳴く
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雨垂れと脈が合ってしまう 鈍色の底でひび割れる光 こめかみを刻みつづける秒針
8
鈍色の空の下にて頭垂れ 閃輝暗点 眼は染まりぬ
8
零れゆく想いを五七にながめれば三十一文字みそひともじをしかと越えゆく
8
曇天や雨垂れひとつ落つるたび こめかみ深く脈を刻めり
13
静寂に揺れる鞦韆ブランコそのままに沈む陽を背に童子散りけり
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零れゆく想いを五七にながめれば 三十一文字みそひともじの壁は背にあり
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牛タンをたんと頬張り短歌詠み 静かな夜と交わす鍛高譚
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真名仮名を綴り織り成す物語 誰を温めし布となりけむ
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幾年いくとせぞ詩歌管弦をおさむれど うつつに与へし名残は知らぬ
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芸術は慰めか、あるいは麻酔か
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言問ひしかそけき声は季指の端 昨日をも知らぬ深緋こきあけの傷
8
知らぬ間に心へ触れし痛みかな 小指の先に光る切り傷
6
「いつ来たの?」と訊ねる 小指の先の紅い切り傷
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ホルストよ 金星のその光は本当に平和と呼べるのか
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今はただ安寧求めて身を落とし 夜を見ている宵の明星
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いまだ来ぬ静けさ祈りて 落ちはてし世の底よりぞ夕星ゆふつづ見ゆる
8
民をこそ守りし城の石垣に枯桜かれざくらのみにし代を舞う
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ベランダ経て 柔軟剤の香り纏う風
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立春の陽気吹き消す強風に 洗濯物なびく午後三時
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立春の陽気掻き消つ大風おほかぜに衣打ち靡く申の刻かな
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世を見つめ音ほろほろと零れぬる 霞む眼路に滲む星月夜
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巣食う魔に命削られなお白く 燃え尽きんとすたまの輝き
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痛みさえいつか眠りに溶けるまで 夜の帳を独り見つめて
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ひとつずつ明かりを消してゆくごとく  闇の深さに星を求むる
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これやこの この身に迫りたる 末期まつごかな いまはうるはしき花を咲かせて
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