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ふらふらと遠くに行ってしまう人 春とか戦時とかには多い 

この人も濡れた臓器がこぼれない位置で手を組み挨拶をした 

その呻きすら日常と呼ばれつつ鍋にトマトが煮崩れてゆく 

どこまでが仕様なのかと問い合わせようにも神はもう死んでいる 

「命より大事なもの」という箱に人が勝手に詰めるがらくた 

身体を使ってできることがある たとえば背中を向けて去ること 

人はまだ各自個体を持っていて個体は壊されやすいこんなに 

抱き合えば何かわかるというような信仰(早く滅びねえかな) 

こっちでもあっちでもない「どこにもない場所ユートピア」 置かれた場所で咲けるわけない 

知ることを眺めることを慰めとしていた人も霧が呑みこむ 

しらじらと蛍光灯に照らされていないと踏み外しそうな世界 

これもまた腐敗なのだが水底に透き通りゆく花びらの堆 

雨に濡れると穴のあくオブラートの上に載ってるような日常 

人の眼が愉しむために咲かされているとも知らず咲き誇る花 

「私には価値などないが私より価値あるものもない」と、それだけ 

ふっと手を離して去った人たちは見えなくなったので、「いなかった」 

どうせみな忘れられてゆくだけなのに 名付けることを人はやめない 

「この下に怪物がいます」と書いて覗き込まずに生きる手もある 

死なせては生んで、生んでは死なせての連鎖を一つここで止めます 

「我々」という幻影が具体たる「我」らを轢き潰してゆく今日も 

この土も幾千年の暴力の記憶を秘めて春の芽を吹く 

麗かに都市を焼く火を見たいなら……こっちで見よう、そのための詩だ。 

これが無意味ならそれとかあれとかのために死ぬのはもっと無意味だ 

滅びても消えてもいいと思うのは何でも難しいよねわかる 

できるだけ顔を歪めてここにいる 存在意義ってこれじゃないのか 

いくら遅く生きても時間は平等に死に至らせてくれるのがいい 

わたしたちこんなに同じでないのだと気づかせてくれ、言葉は、常に 

同じ向き、同じ形のこの椅子に座れる人しかここにはいない 

ほとんどの人はそういう状況になったらそういうことをするんだ 

群に生き群に死ぬべく造られた……ままでなくてもいいんじゃないか?