鷹枕可
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歌誌帆所属。飢えた獣(短歌連作)を募集中。アクセスはmitzho84@gmail.comまで。自由の敵に自由を許すな。
猶、短歌は歌であると共に、一行の詩であると考えております。

汝 速やかに死ね――勅命下る白き菊花を手套にはらふ
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ころもかりぎぬくづる花争へ流鏑の音 正鵠を逸す 
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都市を経し寒村の老婆は慾るCartierの首飾の留石 まで
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自然機械解析の夕きざす葦の茎は死を思はず 言葉
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文學の空座を英‐翻訳の辞、売文とは善き惡徳の華
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死病、飢饉、恐慌、戰争 ひとすゑずゑの世もゆめなるへ 史は
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ころされたいのちをかへせいまのいまもころされてゆくいのちをかへせ
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                               | 、
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ルビの雪 、が 降ります、と、雨、に潰ゆ、 る、 いのち が、ほら 、ほら、と 、
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たれが歴史をくりかへすのか その文書の一ページ目は からはじまつてゐる 、
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Auschwitzの門, Gazaの門 は黑白な すふかき雪 に鎖さ れて 、
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常識こそうたがはるるまへひとは鳥なりし うたがはば飛べざらむ
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海嘯の寄する額へ魘されて華窓ありし うつそみからいづ
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空中斜塔泛ぶ散水機の鎌頸もたげつる霞の花圏より七牆
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禁慾の庭園ならで忌憚の百花白百合の髄蘂ゆこぼるる音せし
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夜の言葉星くれなゐの花樗そのほそつづらなす窓居に醒めし
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さはれみづのことば韻文の明くるまで暁星へやかれし涛に
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雪花ききづたへなる聖靈の耳霜灼けてなほ靑かりしかども
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さばさばさばこきくれなゐのはねごろもたててふるなむしらかみのゆき
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人間に意思などあらじ 「むかふ家に百合の黄の花がたつたやう」
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佛頭焚かれ やかれもせずにをのをのがとらはるるは上手ならずや
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まこと亡びとももふ歌たらざりしいきのこりとはわがことならば
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山の端へけぬるかたへへ花霞たつけふをかぎりのいのちならまし
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さればいにしへの戀はらからの今際の面散る昨日いきてしか
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うたごころはや死にしかば現實の實ももたざるはなごろもかな
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秋闌けて漢方學者薬種店硝子戸へ首晒せるあはれ
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草帷子桔梗に芒婦人花秋の地獄のすずしきを染め
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喀血す母仔合はさば一羽の鶴となりなむおりがみのゆび
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花のたてるをたれそしらさむ浮草へ鳰くくりぬをしるとはなしに
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人体機関へ昏き淵あり鐡芯の骨組みきウェヌスは婦人
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