月ノ夜 葵
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二〇二四年一月十五日に初投稿。春夏秋冬、花鳥風月、空と月、光と闇、小さな幸せ、日々のことなど。他所で詠んだ歌をまとめています。よろしくお願いします。

青梅のヘタを取りつつ祖母の手のしわ思い出す長雨の夜/題『梅雨(テーマ詠)』
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秒でした 名前呼ばれて目が合って恋に落ちたと自覚するまで/題『秒』
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地図もない題名もない僕たちの旅は自由で不自由だった/題『題』
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水たまり避けずに歩く紫陽花の道新しいレインブーツで/題『自由詠』
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感情を満員電車の網棚に置いて無になり会社に向かう/題『感』
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まっすぐじゃなくてもいいよ少しだけ曲がったキュウリも選ぶ指先/題『選』
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この空に飛行機雲を描きたい そんな夢見て跳ねるトビウオ/題『魚(テーマ詠)』
9
こんな固い蕾みたいな私でも置かれた場所で咲いてみせます/題『みたい・みたく』
9
あじさいの花の一部になりたくて青色の傘差す雨の朝
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不揃いの果物くだものたちが熟してく亜熱帯めく夏の教室
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手のひらの線で運命決められてたまるもんかとこぶしを握る
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好きなもの数えて眠る独り寝の月の光が眩しい夜は
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聞いていたものとはちょっと違うけどこれも恋かな恋なんだろな
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初めての仮病を使った有給で眺めた海のきらめきを
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屋上で君の足音待ちながら焼きそばパンがすでに2つめ
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この雨が君の涙であるならばてるてる坊主を多めに作る
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いつも愚痴聞かせてばかりでゴメンねと小春日和に干すぬいぐるみ
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片側に寄せたごはんを包み込みオムライスはいま三日月になる
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コーヒーをアイスで飲みたい日が来たら私の夏が始まる合図
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まつげから「好き」がこぼれてしまいそう 瞬きもせず君だけを見る
9
後日談みたいに笑って言わないであの頃きみが好きだったとか
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初めての万年筆は就職の記念インクは空色にする
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散ってから旅が始まる花びらは海を目指して川下りゆく
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好きという気持ちを確かめ合うようにつないだ手から春があふれる
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透明な体をさらしあってても心の奥は見せない海月くらげ
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今日のこと全て許してくれそうな橙色の夕焼けに泣く
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本命や義理や友チョコ関係なく長い名前のショコラ食べる日
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夜が来て朝が来るだけ繰り返し繰り返しただ繰り返すだけ
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我が推しが演じる王子に恋をして私は姫になりきっている
9
雨だから掃除洗濯できないし理由をつけて休日とする
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