六文渡(Wataru Rokumon)
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考えることは痛みを伴う。
しかし考えることはできる。(「荒れ狂う光」より)

七味振る タレを舐って 焼酎の 辛さを喰らって 今日も独りよ
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生きている 《カルトは春の季語らしい》 お前も俺も 迷える羊
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心臓の 音で揺れる首 赤信号 静かに歯車となって待つ
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十二度の 細雨は春の柔らかさ いつとは無しに 冬は去りぬる
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エアコンが 無くても外気が平気になって また一つ季節が巡ったと知る
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スーパーの 硝子の僕は 泣いていた。 泣いてなどない 僕を無視して。
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僕の足に まだ影はじっとついてくる 透明な翼は見えない
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親にすら 話せないほど根腐れた 私の今は 煙草の香り
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鏡像よ お前は死んでもいいからさ 僕が生きてるざまを見ててよ
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8が好き どれだけ時間がかかっても 割り切ることができる一桁
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煙草の火 焦げて縮れた前の髪 荼毘に付される 匂いはこんな
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夢破れ 夢も忘れた海琥珀シーアンバー 流れる先も 判らないまま
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長く伸びた 玉のれんを手でかき上げて この世界はまだ 鮮やかと知る
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生まれる前まで 父が吸ってたKENT 確かに父の 匂いがしている
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鼻に残る 煙草の匂いは 火葬の 祖父を送った あの日に似ていた
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散る雪と 焼け落つ灰の 別もなく 死にたい時に 死ねればいいのに
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セブンスター コンビニの軒 鬼ころし 積りもしない 雪になりたい
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ラスイチの ピースにライターの火を灯し 僕の欠片は平和のそばに
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漣も 雨の足音も聞こえない 弓矢BOW AND ALLOWとPlazma聴いて走るから
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潮風と 石油の匂いが 吹く波止場 午の港は 帰郷の様相
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夢の跡 見たさに眠る朝7時 このまま死ねたらしあわせなのに
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耳朶の 裏からイヤホンねじ込んで 夜も今だけ私の時間
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「生きたい」と 咽ぶ未来に火をつけて 栴檀草センダングサの種は焼け落つ
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掠れたメンソールと褪せたブルーベリー 有限の未来噛み潰した味
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浅く吸う フォルテの煙は濃厚で 寒空のような寂しさもある
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思考より 静かなさざなみ聴くために 今日も無計画の旅に出ている
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ワイパーで 拭った小雨の流れた跡は 廻り廻った星空のよう
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身に迫る 歌に流した涙の跡は 欠伸のそれより暖かかった
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人には言えない趣味がある 夜の海辺をドライブするはしること 一面「死」がいる
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海に行く 涙の跡をそのままに 煙草の煙は 遥か後方
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