飛井衣奴
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早々と七日を終えてこんがりと揚がった腹にたかる蟻たち
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暑すぎて項垂れている向日葵の焦がれる日は地の照り返しか
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熱帯夜寝返りうちてまたうちてまんじりともせずく寝たいや
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軽々とぼくの歩みを追い越して風とともに去る花々の
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もう真夏そうだと言ってほしいよなでもまだ降らぬせみしぐれたち
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町中でもうすぐ夏と便り受けここまで届くプールのにおい
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友だちの作ったごはんいただいてダチんの味がしておいしい
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ねこちゃんにふみふみされて着てた服ふわふわ色へ染められてにこ
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風の吹く波立つ雨後の木の下でひろがる春の海こぢんまり
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唐突に駆け寄ってきた春さんの瞬間速度夏並みの汗
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もう春はあちらこちらに見るけれどまだもう少し踏み切れないね
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出汁しみてほかほかの夜じんわりとからだじゅうおでんになっちゃうね
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練り物もお肉も米も粉物もお腹にたまってえらいねえ
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白色のはんぺんなんかしゅわしゅわで何枚だって飲めちゃうねこりゃ
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雨上がり黒く滲んだ道道に白くえがいた水玉模様
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トタン屋根それは海への導き手ひと足先につもる白波
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ふた毛玉ひとり占めして寝ごと聞く三びきはいる布団ひと組
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足のにぬくいかたまり猫たんぽ挟んで眠るダチんの夜
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ダチんの猫を連れては帰られぬだから少しの毛を服に連れ
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こうばしいまつぼっくりの味がする美味しいケーキキャラメルナッツ
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地面から煙がのぼるせめて消せそも捨てるなよポイとタバコを
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あまりにもはやく過ぎ去る気がつけば押し流される年の瀬に乗り
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口まわり乾いた風で吹き芋ふかす季節かペクチンと鳴く
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紅葉ですみたいな顔で落ちているペットボトルの赤キャップたち
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夏冬に押し挟まれて所在なきちいさいきみを見つけにいこう
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絶対にいつか絶対行くからなまだ見ぬ猫のいるダチん
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キイキイと声高々に揺れて鳴くぼくを飲み込む電車の継ぎ目
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道をゆく見知らぬ人を風よけにできる背のこと嫌いではない
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我こそは天気予報を覆す神の加護ある晴れの人なり
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さえずりにはじめましてとあいさつす鉄の翼の渡り鳥なり
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