柔村
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ときどき、のんびりな投稿です。

だらだっだ スキップ崩れの地団駄で泥濘さえも踏み越えてゆけ
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よそゆきの自分の残機が減ってって きのこパスタを口に詰め込む
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空っぽのラムネの瓶を抱いている いつかどこかで会う花のため
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ぶっ叩くエンターキーが何らかの手違いで爆破ボタンになれ
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左心室お借りしてます きみのなかワンルームだけ居場所をくれよ
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選ばれていくいちご味 選ばれず転がっているハッカとわたし
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擦り切れた薄布が揺れ、射し込んだひかりにきみの名前をつける
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風でふくらんだカーテンを抱きしめる そこにもういないのは知ってる
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飽きるほど聞いたあなたの鼻歌がわたしにうつる この距離がいい
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ぽこぽこと浮いた背骨をなぞってはピアノみたいに弾いた二時頃
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押し入れのあかいろの屋根のおうちで わたしのかけらと眠るうさぎ
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あの日見た流星はいま手の中であかあかとひかる 名前を呼んで
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針だって石ころだってなんだって君の代わりに飲むよ 笑えよ
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胃の中を全部ひっくり返しても 飲み込んだ言葉分からないまま
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赤い糸なんてなかった 土曜夜 電話線だけつながっていた
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もういいよ ここに君ごと置いてくよ プリもおそろのキーホルダーも
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雨の日は半透明の膜越しに世界を見てる 耳鳴りがする
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トリミングされた写真の切れ端とゴミ箱で仲良く眠ってろ
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「とりあえずこの日まで生きよう」を繰り返し繰り返し繰り返す日々
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二百年先であなたと待ち合わせ わたしの目だけ覚えていてね
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あの頃のあなたの声が胸の奥底でゆっくりオパールになる
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君だけが呼んだあだ名のかたちした穴が残って動けずにいる
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からあげにレモンかけるし、たけのこ派 真逆な君とそれでもいたい
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わたしにもちょうちょむすびをしてくれる優しい指がいたということ
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とぼとぼとあるくぼとぼとあふれてく すきもきらいもうたになってく
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むなしさというのは熱に弱いからカラッと揚げて食べてしまおう
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さん、に、いちで僕はジャンプするからさ今年で君とお別れなんだ
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もう足を蹴られないこたつの中でひとりぼっちで冬眠したい
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歯にしみるキャラメルみたい 凸凹を埋める行為は甘くて痛い
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くちびるを舐めると冬の味がする さびついたさみしい味がする
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