柔村
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ときどき、のんびりな投稿です。

さようなら! 愛したすべて まっしろな水平線の先で会おうね
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頭からつまさきまでを貫いた まばたきの度ひかる青雷
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翅をピンでとめるように丁寧にあなたの影を踏んで歩いた
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飲み干したブリックパックの紅茶が薄味すぎて終われない今日
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えぐれてる口内炎を舐めながら「にくづき」を月と書く訳を知る
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ぐずぐずになるくらいまで傷んだらジャムになりたい 好かれてみたい
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しゅうまつはきみお手製のカレーごと化石になってしまえたらいい
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切れちゃった蛍光灯を資源ごみに出し 天使は人間になる
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毛布というさなぎの中でとろとろに溶けて、飛べない朝がまた来る
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掃き溜めを手探りでゆく 皮膚を裂くガラスのうつくしさも知らずに
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孵らないたまごをじっとあたためる わたしの好きはそんなだったよ
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タイムカプセルの中へと詰め込んだ夢は二酸化炭素になった
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現実もゲームの中もくるしいね 村人Aの叫び「ああああ勇者
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ちりちりと光の粒が舞う窓辺 まつげの揺らぎばかり見ていた
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かなしみは目を背けると追ってくる ムーンウォークを身につけなくちゃ
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ただ息をしていたかった それだけで重ねた日々のあざやかなこと
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朝焼けに伸びてく影があなたへの帰り道指すコンパスの針
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ともだちのような絶望ひとつだけ連れてくよ さぁ手を振って、ほら
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わたしたち鏡じゃないし向けられる全部を全部、返すことない
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おいで、いま君だけに海を開けたから つまさきも目も青にひたして
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いつか染み込んだあなたの名前だけ消せなくてみみず腫れになった
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血管を辿っていったあみだくじの先でぼくをどうか見つけて
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さよならは柔軟剤のにおいだと知ったわたしに花は降らない
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まだ乾ききってない膝の傷から幸福が零れてく気がする
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何気なく読み返す本に挟まれた栞が旅というものなのだ
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五分前にできた世界は五分後終わるかもだしアイス食べよう
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薄氷が割れるみたいに この指が瞳が示す先はただ、青
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枕元のマレーバクはほろ苦い孤独を頬張りふくふく太る
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透明な体を蝶が通り抜け、春はゆく 何も始まらずとも
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何者かになれなかった僕のまま 裸足のままでどこまで行こう
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