翠星むいろ
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2025.05.17 下の名前が変わりました
酔って、眠って、忘れて、それでもふと思い出すような、そんな短歌を目指しています。

健やかであれと祈りて見送りぬ 緑風なぞるつがいのメジロ
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人々もくらくら項垂うなだる薄暑光 一足先においとまツツジ
9
振り向けば扇風機と猫控えたる 片やカタカタ片やミャーミャー
8
ジュッピュイと鳴いたそなたは何者か目覚めて仰ぐ黎明の空
14
一箱を弟妹かぞく仲良く分け合いて三つになりぬキャラメル恋し
11
ほろほろと酔うて見上げる春霞 畔を駆けゆく子どもは跳ねる
12
入り混じる長袖半袖ノースリーブ 街は一つの大きな花束
11
浅知恵で栄養学を悪用し サプリ一錠 食後服用
6
隕石が地球に落ちる二秒前みたいな暑気と煌々たる空
11
朝ぼらけ高く囀るシジュウカラ恋うていそがし私も一人
12
酔い痴れてばたんと布団に横たわる明日の支度は明日でいいかな
12
陽が堪え這う這う手にする炭酸水 泡が弾けて今夜はビール
7
初夏の朝今だ今だと衣替え 春風惜しむ心もしまう
10
ようやっと歌いめたかウグイスよ 機を逸せしは私の方か
14
飲み込んだ色がしとしと滲みていくパンプスじっと見ながら帰る
8
「書き上げた!」私を祝す鐘の音カシスソーダを氷が踊る
13
束の間の晴れ間に換気 ねこ駆けて 窓枠飛び乗る きみも見たいか
13
雨降りを羽ばたいてゆくカラスかな 僕は傘下かさした 出社へのみち
11
疲れたとぐずるきみの手引いた日は 木漏れ日ゆれて 葉擦れがありて
11
念願のユッケが美味い新鮮で衛生的な死をかみしめる
9
朝霧の先にまほろば見ばやとて目を凝らしつつかしぐ一献
15
十ミリのシャフトが余るピアス穴 時の形がやわく透けたる
7
XエックスYワイも失した世もがなとなげうつ方眼紙の空漠
8
二つつ 食べて満足せぬままに 気づけば五つ 気づけば八つ
12
「好きやって言うたやろ」と母包みたる 柿の葉寿司に宿る優しさ
18
白黒がもう分からない碁盤から遠ざかりたい岡目八目
12
気温差か宿酔なのか分からねど、関係ないや! いざもう一杯
10
目も眩むフラワームーンの光芒に結わえられたる宵の空かな
13
春眠のうだる夕べに風が吹く 私を撫でる慰めのいろ
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微睡みに絡め取られし朽葉こそ実りを結わめ息吹く芽のため
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