翠星むいろ
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2025.05.17 下の名前が変わりました
酔って、眠って、忘れて、それでもふと思い出すような、そんな短歌を目指しています。

半畳の窓から漏れるひかりさえ 鳥影混じり暮れに溶けゆく
10
洗いもの濡らした服がすぐ乾き「ああ夏ってば、もう来てたんだ」
22
サブスクの解約ボタンを押した夜 棚へと詰める詩集が一つ
17
新春に渡しそびれたポチ袋 にっこりうずまき引き出しに住む
12
目覚めれば家族の声が遠ざかる 夢のほとりへまた歩き出す
16
梅雨前の天ひさかたの笑み見せて 浮かれし風の薫り過ぎゆく
18
今日という時間で編んだコースター 使い古せば味も出るかな
16
鼻先をお腹にうずめ眠るきみ 赤子のような寝顔を湛え
17
燃える陽はすぐ昇るだろう黄の花のうちでトマトは時を待ってる
13
窓ひらく晴れ間の下にしんしんと父母ものおもふ部屋の醒めゆく
14
火照るのは夕日の所為か昂揚か 合格の文字反芻しつつ
11
「これくらい」机に向かう午前五時 夢では子らにもみくちゃにされ
7
神様へ 産まれる場所が日本ならパラメーターはこう振ってない
7
雨音に混じる小さな鳴き声よ ウグイス色の生命いのちふるなり
16
聴き慣れたプレイリストを脱せない ループ再生 今日も明日も
15
しとしとと雨降りやまぬ深更に閉ざせし本もあけを待ちおり
12
甲乙の付け難き日の静謐に捧げて遊ぶチューハイ積み木
13
水面の照り返す陽に陰影が静かに揺れる時を見ていた
8
カラスこそ朝告鳥と呼びたもう 黒きがみせる日の出の気色けしき
11
10÷3じゅうわるさん 小数点は何位まで求めますかと聞かないずるさ
7
風に舞う黄色い花に白い蝶 眠る畑に楽園息吹く
13
健やかであれと祈りて見送りぬ 緑風なぞるつがいのメジロ
19
人々もくらくら項垂うなだる薄暑光 一足先においとまツツジ
9
振り向けば扇風機と猫控えたる 片やカタカタ片やミャーミャー
8
ジュッピュイと鳴いたそなたは何者か目覚めて仰ぐ黎明の空
14
一箱を弟妹かぞく仲良く分け合いて三つになりぬキャラメル恋し
11
ほろほろと酔うて見上げる春霞 畔を駆けゆく子どもは跳ねる
12
入り混じる長袖半袖ノースリーブ 街は一つの大きな花束
11
浅知恵で栄養学を悪用し サプリ一錠 食後服用
6
隕石が地球に落ちる二秒前みたいな暑気と煌々たる空
11