翠星むいろ
33
28
投稿数
132

2025.05.17 下の名前が変わりました
酔って、眠って、忘れて、それでもふと思い出すような、そんな短歌を目指しています。

梅雨ごろは憎くはあらず世をへだつ御簾のうちなる静けさにおり
21
偏頭痛寄せては返す波のよう雨の朝まだ潮騒聞こゆ
22
のこされし蜂蜜瓶を抱きしめて 琥珀をひとつスプーンに掬う
19
だんだんと雲の形が分かりゆく夜明けの空を冷や酒で飲む
15
何事も無き一日をしらせたる幼馴染のあることの幸
17
お天気に「いってらっしゃい」袖を振る物干し竿の真白きシーツ
17
泡沫に溺れた夢を聞き終えて ゆっくりきみはまばたきをする
16
窓枠を照らす西日は黄金きん色に 子どもの声はひかりと共に
18
外を見る猫のあたまを見つめてる私を見てるまた別の猫
16
半畳の窓から漏れるひかりさえ 鳥影混じり暮れに溶けゆく
11
洗いもの濡らした服がすぐ乾き「ああ夏ってば、もう来てたんだ」
22
サブスクの解約ボタンを押した夜 棚へと詰める詩集が一つ
17
新春に渡しそびれたポチ袋 にっこりうずまき引き出しに住む
12
目覚めれば家族の声が遠ざかる 夢のほとりへまた歩き出す
16
梅雨前の天ひさかたの笑み見せて 浮かれし風の薫り過ぎゆく
18
今日という時間で編んだコースター 使い古せば味も出るかな
16
鼻先をお腹にうずめ眠るきみ 赤子のような寝顔を湛え
17
燃える陽はすぐ昇るだろう黄の花のうちでトマトは時を待ってる
13
窓ひらく晴れ間の下にしんしんと父母ものおもふ部屋の醒めゆく
14
火照るのは夕日の所為か昂揚か 合格の文字反芻しつつ
12
「これくらい」机に向かう午前五時 夢では子らにもみくちゃにされ
7
神様へ 産まれる場所が日本ならパラメーターはこう振ってない
8
雨音に混じる小さな鳴き声よ ウグイス色の生命いのちふるなり
16
聴き慣れたプレイリストを脱せない ループ再生 今日も明日も
15
しとしとと雨降りやまぬ深更に閉ざせし本もあけを待ちおり
12
甲乙の付け難き日の静謐に捧げて遊ぶチューハイ積み木
13
水面の照り返す陽に陰影が静かに揺れる時を見ていた
9
カラスこそ朝告鳥と呼びたもう 黒きがみせる日の出の気色けしき
11
10÷3じゅうわるさん 小数点は何位まで求めますかと聞かないずるさ
7
風に舞う黄色い花に白い蝶 眠る畑に楽園息吹く
13