Utakata
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無兎
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気ままに詠みます。
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曼珠沙華ほのかに紅き蕾して遠く流るる雲見上げおり
5
だとすればこの茶葉ゆらすものは何?生死の海に浮かぶ小舟も
4
器には過去の記憶が注がれて朝目を覚ます私が生きる
4
紅の袖ふる君と
香香背男
(
金星
)
の逢瀬のあとの藍の空色
3
その時は神代を語るものとなる赤き星にてねむる探査機
5
一日をとじる芙蓉の白のなか秘密をしまふ秘かにしまふ
4
物置きの小屋の奥より声は来るどこどこ何処と仔猫さがすも
2
朝戸出の君みおくるや山鳩の低くなきおり薄藍の空
1
藍草の夏の葉で染むスカーフは翡翠色して風を待ちおり
5
大丈夫と理屈ではなく意思として夜空に言えば語りだす星
3
大丈夫とただ穏やかにわが内の小さな星の欠片と話す
3
大丈夫といまは聞かずにいて欲しい寄り添ふ夜はただそれだけで
3
忘れもの独りもどりて巻きもどる母を見るなり泣きだした朝
3
道すがら銀の言の葉さがしては一夜一花の月見草まつ
2
夏の夜の月に音色はこだましてラフマニノフの鐘は響きぬ
3
鳳仙花指ではじける性さへもまだ知らぬらし夏の青き実
3
あかね飛ぶ稲穂の波のただ中の軽トラの背で見る空の色
6
捻じ曲げて街の形に合わせてる私を放つ夏の稜線
1
讃州の乾いた夏に讃の子と打たれて遊ぶ
虹
(
こう
)
の滝かな
2
渦巻ける鳴門の潮を進みゆく
小
(
ち
)
さき漁船の命頼もし
3
冷蔵庫に茄子の煮びたし眠らせる薩摩切子の青が染みいる
2
ハッカ飴 缶の
深底
(
みそこ
)
に固まりて白く切なき闇となりぬる
3
庭に一つ朱のガーベラが咲き出でて長き夢へと誘ふ午後二時
5
瑠璃茉莉
(
るりまつり
)
みづ色の夏は留まらぬハーバリウムの壜もちきても
2
とりどりに囀り歌う鳥たちも恋つたふるはその鳥のうち
2
ゑんどうの未熟な種子が青々と皿に残るを片付ける夜
5
遠退
(
とほそ
)
きし街の熱さを話しつつアイスコーヒービュッフェに揺れる
1
雨乞の岳からのぞむ淡海の
真水
(
さみづ
)
は稲の波へとかはる
3
校庭のハンカチの木は白くゆれ体操服の子らを真似おり
1
海原の青の孤独は灯台の白き祈りに導かれゆく
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