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Utakata管理人です。四季の移り変わりと自然を題材にした歌を作っています。

くすのきの葉がつぎつぎと落ちてきて枯れつくすほどのことではなくて 

傾いた太陽の色に山吹の花々のかさなってゆくころ 

かなへびの舌ちろちろと春の陽にややあたたかい敷石をゆく 

綿毛の塔に風やわらかく吹き込んで崩れ去るにはまだ早いから 

木々の葉の影こまやかに映し込み疎水に春の声が聞こえる 

ひとところ光さしこみくすのきの葉がゆっくりと落ちてくる迄 

落椿おちつばき雨にくだけてのこされた椿とともに紅々と咲く 

桜花ふりしきる道にのこされたあたらしい葉の色を見ている 

朽ちはてた椿の香りたしかめて春の陽のさすいただきを去る 

しじみ蝶は枯葉に惑う栗色の翅をしてすこしも動かない 

銀杏のかたちを知らないてのひらに球体をただころがしていた 

目をつぶることを知らない太陽が木々の葉を黄色く染めていた 

その虫の翅は黒かった なにものにも(夕陽にも)染まらない色だった 

夏芝の痛みをせなに湧き上がる雲のかたちを確かめていた 

青空に乾いた音がするときにちいさく咲いたそのむらさきは 

塀の高さに薔薇たち上がりちょっとだけ背伸びをしても手は届かない 

たおやかな風にゆらいだ薔薇の色はすでにかわいているはつなつの 

バスケットゴールの網は朽ち果ててひとところ光のあたる場所 

はるかなる道はるかなる夏雲にちいさく息を吹きかけてみる 

夏痩せた身体は風にはこばれて鳥居をくぐれば新しい街 

乾いた色をしている椿冷えきった花弁にゆびをすべらせてゆく 

しじみ蝶のからまりあって昇りゆく 太陽にかさなって見えない 

木の椅子は秋のひかりに温かく降りやまぬ葉の重さをおもう 

冬薔薇の棘の硬さに食い込んだ人差し指に血は出て来ない 

とびとびにとぶ雲を見るあきかぜのはてにはなにもない空もあり 

焦げ茶色の陸橋に汽車あらわれてあとすこしだけ此処にいる 時間 

人びとのあゆむ速さに滲みゆく銀杏並木のあおいろきいろ 

黄昏の稲穂にともる太陽は青いわたしの眼を灼くばかり 

立葵崩れたままの中庭に青い如雨露をかたむけていた 

雨上がりの腕に小蜘蛛をまとわせてすこしだけ高い空を見ていた