もみのき
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物言えば唇寒しというものの物を言わねばますます寒し
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悔しさを噛み殺してはにこやかに「ありがとう」と云う明朗な自殺
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馬鹿野郎と言えないためにへらへらと卑屈に笑う我が身の屈曲
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ただひとこと憎いといえば済むものを百千万言むなしく潰える
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人間を人間と思わぬ振る舞いしながら友に寄り添う優しさも誠
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レトリックなど必要のないこの感情は憎い悲しい苦しい愛しい
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あのとき死んでいたかもと冗談めかして打ち明けてみるお前が憎い
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水に流せなかったことになれ腕の痛みもひきつれた服の破れ目もお前を憎む私も
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きみに近づくぼくを決して容赦しない青白い炎燃え上がるきみの魂
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さいはての光たしかに手のなかに余白を握るかなしみはゼロ
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さまざまな人々さまざまなまなざしさまざまなきみの思惑とオレの欲望
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赤青黄色紫の光ぐねぐね踊る部屋そっとすり抜けがつがつまぐわう
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さんざめく光の洪水ざぶざぶとかきわけ泳ぐきみは綺羅星
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空薫のあまい香りがふうわりときみを包んでぼくをも包む
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粗相してラクになれればなるがいいみんなもどうせだらしないから
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なんらかのきらめき隠すあなたの手マジシャン志望も見抜けぬからくり
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珊瑚樹のなみだに濡れたきみの頬ダイヤモンドも逃げだすきらめき
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草原にランドセル投げ泣きじゃくる身代わりになれ誰か来てくれ
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なぜ応えないと詰め寄ってくるきみの真黒いまなざし真暗い情欲
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かそけきかげろうかろやかに彼方へ還る駆け引きが好きなきみに似て
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黄緑色の葡萄球断ち割りてきみと分け合うひめごとの気配
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晴天の霹靂なりやきみが来るぼくに手渡す気高き誓い
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不穏なる悪天候の夕暮れに謎めくきみのときめきを耐ふ
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朱欒(ザンボア)の香り懐かしいにしえの古宝玉なる歌の調べか
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孤独とは耐え難きを耐え忍ぶこと決して叶わぬ夢を見ること
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泣き叫ぶ心を叱りただひとりそれでもきみがいると思えば
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いつの日かいつの日か虚しく指折る穏やかな日々にひとりひび割れ
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約束を果たす代わりに奄々と垂れ流される白濁の吐息(いき)
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約束の果たされぬまま肉体(にく)繋げ昂り合えばつかのまの恋
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オレにはお前しかいないと抱きしめる腕の中でぼくもと返す嘘は約束に似て
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