もみのき
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うかうかと眠りに沈む月夜かな汗ばむ心(しん)ににじむ暗闇
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さらさらと流れる布の肌ざわり不意に鋭く風を切り裂く
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ささやかな星の光を追いかけるまなざし伸びてまた輝けり
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つまらない小説を読むふりをする肝心なのはタイトルの『愛』
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さざなみをなでる指先つるつると命をつかみそこねて透明
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ちょっとした涙の海に気を取られ足を取られて命も取られる
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ひとつだけ欲しいオモチャを見つけなさい見つからなければそこでお終い
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なにもせず懐手して生きていくなにもせぬこそ至難の業でも
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生きるのに必要なのはほんの少し清浄潔癖透徹と自由
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乳香のにおいかすかに漂えば清潔な朝にすこしいらだつ
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なぜと訊くきみに答えるすべはなしただひたすらに涙拭えば
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ただひとり荒野をわたる狼のよれた毛並みに騒ぐからかぜ
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たわむれに泣いてみせよと迫るきみ代わりになにをさせてみようか
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さらさらと冷めた文句とひきかえに流し目ひとつと夏みかん五個
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透きとおるガラスの瓶に封をするきみの憎悪をたとえようなく
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むなしさに食い荒らされて擦り切れた心を誰に見せるでもなし
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むなしさに口塞がれてとぼとぼと歩きまわれば突き当たりを右
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むなしさに打ち震えつつ今朝もまた意味を生みだす支度にかかる
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今日もまた窓辺に寄りてただ一人訪ねる先もない心かな
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本当に言いたいことは言えずしてただ内巻きの貝のごと泣く
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暴力をなかったことにする仕草それ見て愛でる罪なき衆生
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さいはての島に降り立ちひとりごつここには涙があるばかりなり
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きぬぎぬの残り香を追いまざまざと思い描くは髪指つまさき
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カピタンの衣装の裾に引くレース触れる指先震えるまなざし
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なんとなく空を見上げて眠れずに思い満つれば乳白の今朝
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天上の死者に恋する朝の陽に吸い尽くすまで蜜を注げば
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昔はいろいろあったよねと笑うお前にとっての昔はわたしの今、今、今
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赦しを問う哲学者の真摯さ横目に赦しをもてあそぶ有象無象決して赦さぬ
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善人の無神経さに傷つけば立ち往生して悪人になる
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きれいごとにつくいいねの数が笑いながら人を殴る拳の数
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