思春期のすべて
(神様じゃなかったんだね)君に問う 入道雲の向こうのことを 0
「透明を言い換えよう」と言いマニキュアを塗る君の爪先の色 1
くらやみしか知らない深海魚のように君だけを見てしまう教室 1
今きみの生き甲斐はなに? ぼくはもう写真を見返さなくなったよ 2
「詩なんてさ言ってしまえばなんだって詩にできちゃうし、たとえば『あ』とか」 1
胸に手を当てて気付いた あなたにはわたしのための心臓が無い 2
「目がきれいだね」と私に言ったけどあなたは心まできれいだね 2
つまらない見栄ばかり張る人間はつまらないけど少しかわいい 3
あの頃は目が合うだけでよかったし先に逸らせば勝ちだったのに 4
好き 4
貸していた小説の表紙のにおい嗅げばあなたはまだ生きていて 2
君のこと酸素と喩えた日に知った 酸素は毒だ(間違ってない) 14
君以外画質の悪い夜だった ふたりで揺れてどうかしていた 10
好きなもの好きだと言えるその口の「すき」の動きが何よりも好き 4
英単語覚えるふりをして逸らす目、七時、電車、stranger 0
こんなとこまで剃っちゃってどうするのばかだなあたし 深夜の一時 1