鞘森天十里
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さやもり・あとり | 猫と馬が好きです。

どんな表情かお明日は見せてくれるかな遊び疲れて寝る元保護猫
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山村の荒れ田の中の里桜しづかに咲きてしづかに散りゆく
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満開の枝垂れ桜に隠るごと命削りて老梅の咲く
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止まりをる桜の下のパトカーは花の開くを見守りたるか
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ホヒョコヒョと鶯鳴ける境内は日蓮宗なりホー、法華経
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わが世をば思ふさまにて生きたかり子といふものはなくてありなん
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はたはたと花弁落ちたり木蓮の天が零せし慈雨に打たれて
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潤むと真一文字の唇の三・一一けふといふ日を背負ひし侍
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地震なゐありて地図を取り出し見つめたるあの日の波を如何いかにか忘れむ
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あたたかい記憶の海に今はまだこのまま沈んでいたいだけなの
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火に懸かり口けもがくしじみらの悲鳴を湯の立つ音がかき消す
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目の痒みくしゃみ鼻水鼻詰まり頭痛肌荒れ滅びよ杉よ
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人魂の如く闇夜に浮かびしはの照らしたる白き木蓮
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ロケットの発射準備の既視感の正体はそうヱヴァンゲリヲン
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吾が肩に枕し眠るめぐき猫かひなを伸ばし頬に触れくる
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真冬日の猫の重みとぬくもりと布団の中でとろけたからだ
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手綱持ち鞍に跨り鎧踏むはぎに感ずる愛しきみ駒
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春雨のあとに洗車機つらなりてピカピカにしても傷は消えざり
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ふよふよと花の枝先膨らみつ霞のたまご孵化まで半月
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