竹内すい
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サイレンで道かき分ける消防車ダックスフンドも見届けている
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蝉の声とどかぬ暗室ひとり待つ浮きあがるまで 死後いと涼し
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マカオ編彼の本棚に戻すきり おとこは西へ歩き続ける
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空洞に寄せては返す息のおと 静かな夜にはやさしくなれる
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中目黒蛍光灯の大通り アフロ、プードル、アフロ、プードル
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舌にあまきカルビで我ら幸せなほど ほんとうのことは言えないままで
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浸かる湯をたゆたう光のちえの輪に目が揺れわたしはとうめいになる
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大雨に殴られ進む一歩ずつ 細き骨の柄もいちど握る
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「いつの日か迎えに行くよ」の音だけが跡になってるにんじん買おう
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どこからか母が持ちたる鼻歌を姉口笛でどこかへはこぶ
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生まれしこと素直に祝えなくて ひまわり一輪買って飾らむ
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行き先のある人達の交差点 白ふむ足に鍵盤が鳴る
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ぽつぽつりオリーブオイルの水玉が一番うれしい水玉模様
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カーテンの一条の光おりている君のまつ毛が問いかける朝
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白湯ひと口 浮かぶしょうがの年輪に生まれた朝をたしかめている
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事なせず寝つけられない部屋を出て ヒトの形になでる夏風
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とげとげの心も短歌にしたならば たなびくかなの曲がりにおさまる
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16に知ったときから幻のバンドを 君もいいねと言うから
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すれ違う言葉にすがる日々の朝 防虫剤が「おわり」と示す
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昨日ごと乾きし化粧映るしじま 家族のように立ちのぼる孤独
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雨粒がひかる油絵の車道で 胸締まるのに思い出せない
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陽炎のキッチンへ出て背中見つ 憎しみさえも解凍されてく
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はつなつに 生まれる前から知っていた枝垂れ柳のスローモーション
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