Utakata
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千紗
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ぽつりぽつりと
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一年中真っ白でいる吾の腕をけっきょく灼かない君なりの夏
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季節ごと変える雷雨が過ぎ去ればあなたにみせたい栗色ニット
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暮れてゆくサマーバケーションとともに鳴く泣く踊る道ばたのせみ
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コットンの白き布団は柔らかにいつのまにやら空飛ぶらくだ
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タピオカは流行っているがコーヒーの良さも忘れてはならず若者
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この列はなんの列かと目をやればニューオープン!タピオカ、とまた
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炎天下歩き歩いてコンビニのアイス溶けゆくのを気にして
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静寂な喫茶店にてただひとつ豆を挽く音ががががが
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「すべて
ここ
(
頭
)
に入ってるから」と言われおりあなたの過去を思ってしまう
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ジャズの地図東京を渡せば「すべて
ここ
(
頭
)
に入ってるから」と言われてしまえり
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吹きあれる熱風木々とアスファルトもうすこしだけなかにいようよ
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誰かの青春をたどっているようなあえて演じてみたい理想
(
)
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ぐうぐうとあなたが見るはなんの夢となりのソファで頁をめくる
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ひかりだま彩度豊かに慰めて「どうしていってしまったのですか」
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ささやきは書斎の隅へ吸い込まれふたりっきりで少女卒業
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きぬずれのあまいわたがし夜に消えて一瞬たりとも見逃したりせず
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しがみつく愛は水滴夏のすそ蒸発するまであと何秒
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本の間に乾いておりぬ皐月の葉放ったらかしの日々をかぞえている
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ハムチーズトーストかじる午前九時 母へ一人でやっていけています
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メゾピアノ桃色ドレスどこいったせび乞うわたし時空の彼方へ
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ぶどう色秋の夜長によりそえば東京ワンルームファンタジー
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往年の洋楽ばかり聴いているあなたのせりふは聞いたふりして
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紫陽花にかくれて陰気な怠惰さがたゆたう六月窓に露がつく
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人々のあつい気配でかみしめるシュガーナッツが私の救いよ
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目を見ずに「お化粧室は」と尋ねるときのなんと自分の無機質さよ
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夏空よ私にこたえてラベンダー ゆらりゆられし吾のやわらかな髪
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コカ・コーラ ちゃりんと入れるその指をみつめておりぬ自動販売機
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ソーダ水飲み終えたならつれてってはじける恋の
翠
(
みどり
)
みたいに
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潮騒のカーテン微々もゆらせずにしめだされいて都会の亜熱帯
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幸福なる陽もさしこんでフレンチトーストあなたの「おはよう」
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