おはぎ
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2023.12~
言葉が切り取る日常の発見と共感が好きで短歌始めました
温かい目で見守ってもらえるとありがたいです

遅刻する間際のテレビ占いは、十位で撃沈。君の星座は
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郵便の宛名があなただった時 死への一歩を小股にする僕
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三ヶ月あれば細胞からだは変わるとて 心の薄皮触れる指なく
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右肩に聞こえる寝息 左手は誤字がなおらぬ短歌を紡ぐ
12
晩春に忘れ去られた粗大ごみ 持ち主不在のNGシール
13
満員の電車は二人を分かつとも 左の鼓膜は君が流るる
10
三年間通った君の街の端 思い出咲かぬ店を探して
12
控えめな友の隣に知らぬ人 通知が来なくなるまでが春
6
ポイ活も掃除も抜かりない彼の 花瓶の数だけ覚えぬ手土産
10
まっさらなノートに立てるシャーペンの角度がぜろに 午後の微睡まどろ
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まだ四日 余った酸素と箸一膳 夫の声だけ響くリビング
8
課金したキャラは進化し、レベル百 変わらぬ僕を追い抜いて春
10
口癖がミニマリストな友人のアナログ時計が光を映す
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喧騒を避けた食堂に若い風 たまにはこういう生き辛さもいい
12
百点を取るためにした勉強をすべて忘れて残る「教育」
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名乗るべき肩書きなくす春休み 羽化して蝶になることもなく
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長机 ノート畳んで突っ伏して頬は感じる 冬の残像
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鼻唄を台無しにする君の名は 十年目の縦型洗濯機
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ノイズなし独りの地球に春は来ずイヤホン外す頬にそよ風
13
君が好き、愛してる、より身をうるむ 絵文字すらない「ちゃんと食べてる?」
9
優しさも強制されて義務となる多様化社会のど真ん中にて
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厚着したあなたが早く帰れるよう祈りを込めて受け取るティッシュ
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努力さえ才能と呼べば容易たやすいが青薔薇の花言葉は変わり
9
荷造りに追われる五時の隙間にて壁一枚越し聴こゆは春歌
10
寒底を抜けた電車の白マスク 比率で図る春の到来
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玄関のビニール傘は連なって そらの機嫌か夜型の君
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デカルトよ 落書きしたのは悪かった 踏み出す手足を君も笑うか
6
日傾くビーサンダル着で始動する「定休日」だけが僕らを正す
7
チャペル◯、ドレスが✕で十数件 君の隣で過ごす幸せ
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特別な春の記憶に咲く花は棘/密として我を離さん
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