温泉待ち人
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君無くて 何を為にか 生きとせん 浮世旅する 気など果てたわ
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芳しき 古本嗅いで 一眠り 「雪国」にいた 駒子と一緒に
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夢美月 桜吹雪に 誘われて このままそっと きえてしまおう
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あの角の 桜の樹の下 薄紅の 花びらでできた 水たまり覗く
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空見上げ 桔梗色付く 十八時 自分の影に 今日はさよなら
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指絡み 隣で笑う お前が嫌い 愛と憎悪は 同じと聞いたわ
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諦観の 終いに待つのは 微笑みよ お前が囁く 常夜灯の下
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福原に 都を作らん 赤旗は 潮風吹かれ 白い塩ふく
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斜陽さす 桜並木は 立ち枯れて 栄華あれども 今は色無し
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「津山まで」 掲げて立ち尽く 龍野西 待ち人来ずんば 発ちも発たれず
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畝傍山 座して橿原 久遠の日 苔むす松と さえずりを聞く
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鴨川の 流れも速し 東福寺 下る思いが 春雨となり
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いびき声 オヤジか蛙か 大合唱 ネカフェの一畳 一睡を願う
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陽だまりが 洗濯物を 燃やす昼 溢れた珈琲 見つめる目
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願わくば 割るべく杯を 納めては 再会すべし この地この場で
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香りたつ 燃ゆる蝋燭 短くて 卒業の文字 頭に踊る
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西の方 縋る思いは 人の業 白む東方 しらけるふたり
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ぼんやりと 薄暮に燃ゆる 白梅が 小さい私を 包んだようで
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日焼けした 活字に這いたる 本の虫 その味如何 後で教えて
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三尺半 片鼻たらして 駆けている 風の子手に持つ 松ぼっくり
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近所の書店が なくなった 君との偶然は もう無いみたい
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早春の 嵐が胸に 隙間風 愁いの炎に 酸素を送る
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泡沫の 世と露知らず 涙落つ のぼる朝日に 背く朝顔
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