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きほんのキ
前世はうたのわにいました

来ぬ人を待ちて夜更くる我が宿に軒打つ雨の音のみぞする
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朝の街ぼくの足音だけがする 誰もいないと広すぎる空
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帰るたび酒を飲むたび眠るたび隣にきみがいればと思う
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枕辺(まくらべ)に君の記憶を置く夜は暁(あかつき)遠く遙か彼方に
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同じ街同じ時間を生きながらふたつの影はもう並ばない
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きみの香にかつての午後を呼ばれつつ振り向く先はいつも人波
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仄暗(ほのくら)いソファにひとり目覚めれば昨夜の我を知らぬ朝かな
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朝風に雀ふたつが道のうえ跳ねては鳴いて花陰へ消ゆ
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愛すれば縛りたいほど近くとも 解(ほど)けたあとに残るものこそ
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飲み込んだ罪は魂を蝕み 赦しを乞えぬぼくを迎える
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新月を超えてほどける月明かり遠き君より髪だけが見ゆ
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定時から真っ直ぐ帰るその理由(わけ)は酒でも君でもあるような夜
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徒然に書を繰(く)りつつも雨を聴く晴るるを知らぬ空と心と
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朝風に未(ま)だ蝉遠く聞こえつつひとつの椀を君と啜(すす)りぬ
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午後三時 甘さを残す唇の白さを知らず笑(え)む君に落つ
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明け方の空に解(ほど)ける雲の背を追いかける夏 見つめるわたし
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風鈴の音に振り向く君の頬名前飲み込む遠ざかる夏
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右斜め前のあなたが燥(はし)ゃぐ声聞こえないふり小さなプライド
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好きなだけ私に縋(すが)って泣けばいいどうせ最後は灰になるから
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期待されなければ失望もないから路傍の石の苔の如きに
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家賃8万円のワンルーム ベッドがひとつ わたしがひとつ
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「世も末」と嘆くぼくらは終夜(よもすがら)明くる朝日を夢見て眠る
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