Utakata
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きほんのキ
前世はうたのわにいました
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灯を消して布団に
入
(
い
)
れば向こうより遠き時計の音ぞ聞こゆる
28
帰り道ふと振り向けば誰もなくただ街灯の影のみ長し
32
今日の気温今日の天気が決める服見せる相手のいないおめかし
26
椅子の背に残った小さな擦り傷を撫でれば君の背中に触れる
32
ふたりぶん買わなくなった帰り道右手は軽く夜は重たい
37
あと少し早く愚かになれたなら君の隣で傷つけたのに
30
待つことを愛だと思った昨日より誰もいない部屋よく眠れる夜
34
雨雲の去りたる空を見上げれば孤独の影を隠すものなし
41
泣く君を慰めるほど近づかず遠ざかるほど離れもせずに
41
君の声消えし後こそ残りたる部屋の静けさばかり鮮やか
32
夏風の涼しくなれば気づきたり熱きこころの冷めゆくことを
32
駄菓子屋の軒先に降る夕立を君と待つた日溶け残る夏
33
あの夜の何を覚えているのだろう耳に残った声ではなくて
23
苦みさえいつか想い出になるのなら冷めたカップを捨てずにおこうか
34
寝過ごした朝の光に目を細め夢より長く君を見ていた
29
正しさを語れる人より泣ける人誰かの痛みに立ち尽くす人
36
靴紐がほどけたくらいで立ち止まる君との赤い糸ならなおさら
30
手のひらの汗を暑さのせいにしてほどかぬ指に夏風が笑む
30
倦
(
う
)
み果てて偽り多き世の中に
野辺
(
のべ
)
の
芒
(
すすき
)
は風に従ふ
28
遠回りばかりしてきた人生の最後の角で君に出会った
31
星もなき夜の
静寂
(
しじま
)
にノクターン聴けば逢ひし日夢にぞ浮かぶ
28
白いシャツ干したベランダ曇る空乾くあてなく風だけが吹く
33
悪夢から逃げた先には置き時計おすまし顔で三時を告げる
33
さよならと言って閉めたる冷蔵庫きみだけが飲む麦茶が残る
32
寄せ鍋に似ても似つかぬ
食材
(
もの
)
たちがひとつの湯気に溶けていく夜
25
後悔は口に入れてからやってくる
山葵
(
わさび
)
の量も人生のことも
30
きみの予定聞かないことと嫉妬までしないこととは別の話だ
24
夜
(
や
)
ごと
酌
(
く
)
む
盃
(
さかずき
)
の底深くして君まで届くこともなきかな
31
終はりとはいつも悲しきものなれど
灯
(
ひ
)
が消えてこそ星輝きぬ
30
寝癖ありそれだけ今日も眠れたと知れば世界は少しやさしい
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