Utakata
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箔塔 落
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ショッキングピンクの髪を井戸に垂らして王子を救う童話のようだ
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古地図の、先般、軍事侵攻を起こした地域に生える赤黴
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星のように生きるな 加速で火がついてついに燃え尽きる星のようには
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焼け焦げた手紙はかすかな風に舞い時間を渡る翼のようだ
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でもそれはドレッシングのかけられていないサラダのようなユーモアで
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全能の歌手が歌えば真実も額縁の中におさまるようだ
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水たまりに蜥蜴はやおら顔をつけ驚いたように茂みへ逃げる
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ありとあるベンチは冷え切り人影を前のページに忘れたようだ
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ジャムのついたスプーンのよう あふれでて海なす唾液の底に沈めて
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流しそこなった涙が眼球のビーカーの底で飽和する
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幽霊のような桜の塊がわたしを奪うごとく揺れている
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酢豚になりたいか? それとも角煮になりたいか? 塊肉への詰問
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翡翠を嵌め込んだような眼の中で陽炎が涙を流している
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オレンジの重さに落ちてくる空にきみの背丈が頼もしいこと
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見習いの詐欺師の嘘は手が込んで嘘というより絵画のようだ(※)
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棺のなかの死者と棺のそとの喪服は揃いの仮面をつけて
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折れたハサミのとなりの台座に拳を掲げ勝利を謳う銅像がある
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凍ったアクリル絵具をひりだして飛魚のごとき流星を描く
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唇はギターのようで指先では弾けないFも難なく鳴らす
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書を燃やすような羽音の昆虫が冬の昼寝を飛び回っている
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頭蓋骨は陶器、眼球は牡蠣の実をひとつぶ浮かべたチャウダースープ(※)
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かけちがえたボタンのままで町に出て気づいてくれた人に恋をする
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ゆっくりと三面鏡を閉じるときかすかに鯨の鳴く声がする
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つまさきは波打ち際に気づいてもかかとはいまだ海を知らない
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ありとある不幸に草冠をつけ光合成をさせてあげたい
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肉体の無惨は愛をむしろ拒みがさがさの手でペニスを握る
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かなしみを押し出すように読みかけの本から栞をすっと引き抜く
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檸檬のごとく膨らんだ風船がキスするように鈍い光に触れる
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玉ねぎを鍋に加えよ クミンシードがふつふつ怒りを抑えているうちに
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猫の胃から出てきたばかりのような綿毛を蹴って春を空に散らかす
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