Luna felice    フォロー 4 フォロワー 2 投稿数 25

一度の出逢いのきみ宛に

「焦がれ香」たぶんきみも好きなはず言葉に色挿し綴る便りに 

余白には白群びゃくぐんのきみまだ知らぬ焦がれし原野を耕している 

ニセモノがホンモノみたいな顔をして十一月の雨がこんなにもやさしい 

寄る辺ないテーブルひとつ用意してぬくもりみたいな鍋を囲もう 

フリをした誠実やさしい嘘にしてそっと畳んだ口づけ交わす 

反りかえるそばから剥けてゆくような柘榴が口に含まれている 

左岸では紅葉もみじ集まり織りと成し夕まずめやきみが目を 

群青のゆうべ 天伸びるクレーンで重力逆らえ星を釣るひと 

ささやかな彩りひとひら気づいたら隣りで爪切るひとになりたい 

スゥ、と寝息を吸い込んであなたの舟に惑星とまり 

こんなにも無数の窓に明かりさし行けども行けども見知らぬきみを 

がんばった分だけ知ってる隠しごと「いちばん暗い星を探すよ」  

感情の七号線の渋滞をばら撒き散らした赤をください 

ニンジンの角切りやさし日々の泡言い訳ひとさじ隠したカレー 

新鮮な秋の空際伸びをしてあなたに流す空き瓶を洗う 

オニオンスープに泣きたい夜もある風に巻かれみんな一緒に空になれ 

新月を盗んで睫毛にかさかける少女は潮騒指をくぐらせ 

愛のバラ 夕暮ひらいたさようならおあいこだったよきみの弱さと 

はじめての街で拾いし夕星ゆうつづをきみの窓にもそっと届けむ 

夜深し持て余すほど自意識の発酵文字できみ焼くパン屋 

のちの月散りとどまれる花なれば欠けし二夜ぞきみとすまばや 

十三夜ふちの欠けたきみの茶碗黒い扉の鍵を探して 

きみが鮮やかすぎたので背景ばかり見てた午後驟雨の脰夏宿り 

パンダ見に富士へゆきたい各駅で三十五円の思ひ出触れに 

海を知る少女がわれに風を編みいつも両手を広げていたり