はじまりはじまり
繁華街おもちゃのティアラをつけた姫 花を迎える気配に包まれ 0
雪が裁つ まやかし呑まれそうな夜に友の名前の補助線たどり 1
陽だまりに傷つくような春もあるふるえていたのはきみの身体か 3
二千年置かれた場所で生きること 証としてそら きみの青さよ 2
できることをやると呟く「を」の息の白さよ俺もがんばっているから 2
逃げ水をうつしたあなたの鎖骨から溢れる滴のうつわであること 2
さあ海におなりなさいな朝まではそんな夜もある防波堤になる 3
「焦がれ香」たぶんきみも好きなはず言葉に色挿し綴る便りに 1
ニセモノがホンモノみたいな顔をして十一月の雨こんなにもやさしい 1
寄る辺ないテーブルひとつ用意してぬくもりみたいな鍋を囲もう 2
反りかえるそばから剥けてゆくような柘榴が口に含まれている 0
ささやかな彩りひとひら気づいたら隣りで爪切るひとになりたい 2
こんなにも無数の窓に明かりさし行けども行けども見知らぬきみを 2
がんばった分だけ知ってる隠しごと「いちばん暗い星を探すよ」 1
ニンジンの角切りやさし日々の泡言い訳ひとさじ隠したカレー 0