夜に棲息している
二人称不在で交わしあうそれは名前も持たないぬるいまどろみ 0
いとしげに「へんなひとだ」とわらうこえつれていかないではるのあらし 8
君のいたシーツがつめたくなっている レンジでチンとかできたらいいのに 5
山手線、ジムノペディと冬の朝、つめたい指先たどる『おやすみ』 1
致死量のあまいをあげる シロップと偏愛漬けのわたしの心臓 1
真夜中のポテトチップス 炭酸抜けかけのコーラ あなたの言葉 0
あんなにも触れているのにきみの骨が何色なのか知らないわたし 2
さいはてに立ちすくんだら聴かせてよ、きみが奏でる世界の終わり 3
呼吸するあかい火種だけが明るい 死に絶えた部屋燃やしつくして 4
ストロベリー・フィールズまではまだ遠くどこへも君を連れてはゆけない 0
思っていたよりもずっと薄かったあなたのからだ 夜明けの湿度 0