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2025年2月から短歌始めました。

高速で過ぎゆく階層傍らに 隣のビルの驚く目と合う/『落下』
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磨かれて石と見まごう光る床 重みで軋む音で木と知る
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花が散り 人も散り散り 花筏 花も若葉も ただ淡々と
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気取られず 後ろ上段回し蹴り 壁で踏み切りドロップキック
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反射してかたち現す 粒と波 全て飲み込み平穏を得る/「黒」
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遠くからカスハラ響く声呆れ 顔見てみたら身内で二度見
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100円を拾おうと手を伸ばす先 ゴミを認めて拾う屈辱
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余白って優しいようで残酷だ 「」に宿る「美」より 介錯求む
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いいですか?これが短歌の赤ちゃんです どう育つかはあなた次第で
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綿《わた》と布 ただの繊維の集積に 体温は無い けど胸に灯る/ぬいぐるみ
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私にも可愛い頃があったわけ 怪獣だってきっとそうだよ
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お礼受け 鵜呑みの自分振り返り 重ねた親切 穴入る道化
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パフェ食べる鬢付け油の浴衣衆 深刻顔の友の向こうに/『ファミレス』
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リビングでくつろぐ姿 マナティも 岩場で休み見間違われた/人魚
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新品の手提げに刺し子 六年後ボロボロなるかと 一針一針
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契約はお前の命と交換だ 50年後に発動有りスか?/交換
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突き当たり封破られたドアに耳 スクリーン前 固唾のむ君/鼓動
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目に入る強い光線濃い影と 酔うほどの星 織り込む原色/アフリカ
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この瞬間ときもいつかなるかな ミニチュアのジュエリーボックス 掘り出した時と
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自分下げ 止めてと懇願「かわいい」を 受け入れてよと 尻むず痒い
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在りし日の 父写る地図 新しい道ができても更新不要
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天仰ぐ 人波 桜 咲き乱れ 君が撮る先 幹の一輪
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容赦なく 手段選ばず 縁を断つ 金毘羅宮にお陰様の春
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なんてことなく適当に誤魔化した あの日の嘘で脈打つ鼓動
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隕石が80万km詰めてきて 慌てる地球を 華麗にスルー/「距離感」
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脳内で埃被ったレコードに 刻まれた声 夢うつつに聞く
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すぐ傍に 在れども見えぬ朔の月 光源なき妙 密やかなまま
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押されると低反発もできぬまま 優しくしても潰れてしまうの/「シュークリーム」
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三度目も 入荷後行って買えぬ君 噛むとはみ出るクリームみたい/「シュークリーム」
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香ばしく焼けて膨らむシュー生地に あなたの空気 詰めて食べたい/「シュークリーム」
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