Utakata
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血圧の数字のよろし朝の卓 塩に伸びたる指のためらい
6
母詠みし半世紀前の短歌あり 九十路の父とこころをたどる
20
九十二の遠来の父を空港に 迎うる道を来年も行かむ
5
三度目はできるはずだと息ひとつ マックの注文画面に触れる
23
眠れぬ夜は詩を考へよと言ひし母 今宵眠れず母を思へり
12
語らひて食べるは楽しと言ふ義父を またもひとりの部屋へ送りぬ
22
四人立つ義母の墓前に讃美歌の 音は揃はず小糠雨降る
12
ごうわくわ べっちょないやろ なんどいや 播州ことばまねる毎日(姫路を詠む)
4
かぶらとは何のことかと迷ひたり 姫路へ越せし十歳の夏(姫路を詠む)
8
横浜より転校せしわれに子ら 神戸が上やと口々に言ふ(姫路を詠む)
8
少年の横浜ことば笑はれて 立ちすくみたる転校の夏(姫路を詠む)
6
初恋の君の住みたる町の名を ふと思ひ出す鷹匠町と(姫路を詠む)
5
ヤバいとか大丈夫とか返るのみ われの話は行き場を失ふ
5
気の乗らぬ集まり明日に控へつつ 帰りの酒を胸に置きたり
7
遠くより思へば白鷺城の西 その名のままに母校城西(姫路を詠む)
5
葬儀にも行けざりし友の命日を 生きて迎へて詫びつつ暮らす
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三十路にて将軍の座を失ひし 慶喜の長き余生を思ふ
8
国の名を叫びて沸けるワールドカップ 熱の狭さを少し怖るる
7
濃き珈琲 胸にこたふる年となり 薄きを淹れて書斎に座る
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