太郎庵
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爽やかに洗濯物を取り入れて干し竿の先 見ゆる筋雲
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行くすゑも処すべき道も弁(わきま)へて なほ生き惑(まど)ふ浅ましき吾(われ)
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夕暮れて連なる尾灯それぞれの思ひを思ふ旧盆の道
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昔日の幼き吾が見し日々を今夏に結ぶ蝉しぐれ哉
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余とともに齢(よはひ)重ねし街の店の心やさしき品揃へかな
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美しく聳ゆるビルの壁透かし音に聞こえし磯浜思ほゆ
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暑き朝、卓の小鉢のパキラ芽の 薄きみどりに涼を覚ゆる
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今もなほ若人斃るる遠つ国 蒼穹の暮れに祈るほかなし
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摩天楼立たむ槌音(つちおと)ひびく街仰ぎしは上京の日の空 眼裏にあり
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世を経ても言葉は増えし身なれども夢の君には昔のわれなり
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夏の朝涼しきところ心得て老猫今日も庭を眺むる
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初めての乞巧奠(きっこうてん)なる名を得たり 句にして笑む母を偲びぬ
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仰ぎ見し あの日の塔は なお立てど 時代の森に その姿消ゆ
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