古瀬葉月    フォロー 3 フォロワー 20 投稿数 84

新聞歌壇などに入選した短歌を中心に掲載しています。普段はツイッターにいます。

遥かなるねじまき鳥を見るように彼女はいまも仕事を辞めない 

こころとはどこにあるのと呟けば僕のうつろにうずくまる猫 

分岐する街 広報の世界では32年の祭も告げる 

たそがれの影絵の街でかがやいた君さえ闇に溶けゆき他人 

来世ごろ再会しましょうどうせなら地球以外で人間以外で 

ほころびた今日を繕いつづけてる僕の日記はなぜだか敬語 

切なさを喩えてみればあかつきの夜行から見る東京タワー 

泣きはらした乱視の目には月みっつ兆していたのは革命だった 

どろどろのアイスクリーム飲み干して死にもの狂いの生に焦がれる 

なにもかも忘れて見てた流星群 望みを持たない生き方もある 

雨脚のなかにロックの微熱あり傘もないまま踏み出したとき 

理解し合うことの岸辺にぼくは立ち水切る石を探しはじめた 

うめき声あげる夜更けの冷蔵庫 わたしの中の〈何か〉は何だ 

贅沢はこういう日々だ真昼から爆音で繰り返すサカナクション 

底のない快楽はない朝風に洗ったからだ 今日を求めて 

冷蔵庫 深夜に開けばやわらかな光わたしはここにいたのだ 

イヤホンがどうにも耳に馴染まない密かなマイノリティがゆきます 

放送の終わったFMラジオから宇宙と地球の摩擦音する 

一個ずつきなこをつけるわらび餅しばらく食べてないなあ、つかれた 

ああ壁よ扉よ床よ天井よ 今日もひとりっきりをありがとう 

冷凍のお米がおいしい朝がきて もうじきわたしは透明になる 

促音の響きはなんとやわらかい二人おんなじ夜のまんなか 

絶望は、とっきんときんに澄まされた群青色の鉛筆の切っ先 

胎児みな宇宙飛行士 最果てに投げ出されるみたいに生まれる