古瀬葉月    フォロー 3 フォロワー 19 投稿数 112

入選した短歌などを掲載しています。普段はツイッターにいます。

拍動を学習している抱擁のさなかで凝らす天井に蜘蛛 

許されるかぎり優しくしていたいクリームを塗るほど弱る肌 

その肩を枕にすればぎしぎしと君の仕組みに抱きしめられる 

ずっと剥いてる玉ねぎがある この夢は世の中にどう役立ちますか 

父母がわたしをなした年齢を越えてやりたいことばかりある 

どの電車にも終点がありどこかへとたどり着くことに驚く 

妻でなくとも肉体は果てしない海であるから遊んでいいよ 

定額制動画チャンネルすばらしくだれも過労死しないでほしい 

路線図の駅を読みあう県外の人たちの声 ほとんど詩じゃん 

走りかた変と言われたわたわたと綿毛になって駆ける 笑って 

湯あがりのきみは異界を連れており異界とともにベランダへ出る 

包み紙ゆっくりと解くようきみの個人サイトの奥へと潜る 

リモコンを持って外出してしまい見てごらんなさいこれが世界よ 

今日は風がやたらに絡みつく君が着ている新しい開襟シャツ 

場所々々にあなたは宿るいつまでもセーブポイントみたく光って 

わたしにも砂地があって夕立も降るから今日は名前で呼んで 

整数解のひとつみたいな君を目で追ったときには始まっていた 

わたしたちしあわせでしたわたしたちしあわせでした、でもいつからか 

風のない春も春です制服を脱いで可塑性そのものの君 

そこでしか繋がりがない人がいるだけのSNSやめられない 

あいつらの「このクラス最高」って言うクラスで僕は透明である 

波に洗われたガラスのやわらかさ鋭利な時がわたしにもある 

お財布も電話もラジオも一台に収まりいずれすべてなくなる 

食費しか削れないけど減る体重よりも重たいコートが欲しい 

無駄なものばかり集めてしまうという友にとっての友人がぼく  

AIに殺されそうになりいつも怖ろしいなあ自然災害 

ほんとうの暴力ほどに見えなくてあなたの「馬鹿」はいつもやさしい 

快速をわざと逃して生きづらいほうのわたしで見てる夕焼け 

手を握ることさえできぬ過去を抱き哲学になるだけの幸せ 

本名で検索してもなに一つ分かりやしない きみを知らない