古瀬葉月    フォロー 3 フォロワー 19 投稿数 66

新聞歌壇などに入選した短歌を中心に掲載しています。普段はツイッターにいます。

詩とは詩でしかない きっとどこかには見たことのない海が待ってる 

突風に花びらあまた舞い上がるイメージで来たきみの耳打ち 

‪哲学に出会った子ども死後という二文字は解けずうつくしい朝‬ 

‪エンドロールのあとに何かがあるもので深い眠りの人を見ている 

風ふけば意味与えられ風たちは何万年も詩を続けている 

目が覚めて暮らしは夢のふちにあり薄靄のさき待つ░░░░░ 

飼い慣らされたものだと思う携帯の充電コードに繋がれている 

魔術的光景である僕ら史上きみがはじめて取る耳飾り 

‪「そんな風に」そんなかぜに、と誤読して本より出でて止まらぬ風‬ 

銀と白、違いの謎を解くときに「光」なる新色に気づいた 

海原の波間に銀を見たら夏、また雪原に見たならば冬 

雪たちに初めてがあること知らず犬はよろこびそのものになる 

絵のような海をながめるその絵とは海があるから生まれたはずだ 

方舟を知らないけれど方舟を思ってゆるく揺らす あなたを 

戸棚から調理道具がなだれ出てシャララシャララとこれも幸福 

血の管は葉脈に似てきみが樹であるなら雨になりたい すきだ 

ディストピアを抜け出したいって生きつつもコンビニおでんに救われている 

ほんとうの君を知りたいと言われたわたしを遠い場所から見ていた 

中尊寺金色堂が開かれるときの手順でただしく眠る 

むき出しのいのちに触れる深きへとゆけば裸電球のやさしさ 

映写機は脳裏にあってソビエトの映画みたいにつらい記憶が 

焦っているふうを装いほどほどに誤字を含ませ遅刻連絡 

怪物の棲む蜃気楼うつくしいままあれきみの婉曲表現 

‪ざっくばらんにばらばらになるわたしたち平和は黙殺することですか‬ 

知られるのこわい 知られないのこわい 半透明の家を探した 

真夜中の信号、自動販売機、わたし、働く路地を照らして 

遺伝子の乗りものならば僕たちはなんときれいな舟だったろう 

目をかたく瞑れば見える砂嵐、機械でないと証明できない 

もうずっと幸せ/不幸という時のか細い線の闇を生きてる 

終わらない映画のような過去みたい 神経質な雨音がして