Utakata
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有村桔梗
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きんいろのペディキュアを塗る 譲れない思ひのやうに足を抱へて
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明け方のふとんにねむるふたひらの耳があつめてゐる雨の音
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海と河の混じるあたりをふたりして見てをり恋の終はりのやうに
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理科室の記憶さやかにアルコールランプが照らしてゐる夜の底
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さやうならとほりすがりのこの庭の白い躑躅の蜜を吸ふくち
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こぽこぽとあなたのゐないまひるまの部屋に充たされゆく茉莉花茶
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あはれあはれさくら散りゆくさびしさをあなたのとほい思想のやうに
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さくらばな 少女が老女となるまでの時を思つて繰る一頁
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わたくしのからだは
器
(
うつは
)
まみふかく閉ぢこめてゐるさくらを思ふ
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いつまでも眠りのなかにゐるやうな椅子をしばらくひだまりに置く
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コンビニのビニール傘に受けてゐる雨あたたかく春がきてゐる
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空耳は空のことばと思ふ日にまなぶたふかく閉ぢてあふむく
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ばらばらの色えんぴつをもう一度虹の順序でならべはじめる
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つまづいたのではないのだ。すこしだけ地球に呼びとめられてゐたのだ。
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流星のやうにするりと抜けてゆく猫のしつぽの描く残像
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さやうならさやうならつて輪唱のやうに散りゆくさくらはなびら
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夜明けまで、海まで、もつと深くまで とほい街では雪虫がとぶ
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紙飛行機をつくるつもりで間違へてできてしまつた流星でせう
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夜にしか見えないものが欲しくなるたとへばゆめやあなたのまぶた
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手のひらで消えゆくものが花ならば傘はささずにゆく冬の道
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わからないことわからないままにして見てゐる雪のうつくしさなど
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雪が降る あなたの街に雪が降る 非日常として雪が降る
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眠りからゆつくり醒めてはじめての雪を見てゐるあなたの裸眼
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硝子天井こなごなに降りそそぐ日のくるやうな心地して 雪
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どこまでもあをざめた空 冬の木が墓標のやうなさみしさでゐる
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親指と人差し指でひらかれて点眼と云ふしづかなテロル
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みづからにみづを抱へてゐる星に生まれたひとをゆつくりと抱く
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雨降りの世界に暮らすひとだらう体育座りで眠るあなたは
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とぷとぷと銀のシンクでふえてゆくこのわかめから海をはじめる
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ゆつくりとボタンひとつをはづすゆび 雨がちかづく匂ひがするね
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