Utakata
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中尾かな子
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18
春が好きと言うことさえ忘れてた
蝋梅
(
ロウバイ
)
の雨粒を払えよ
9
手の上で
解
(
ほど
)
けた白が 囁けど 邂逅し得ぬ
吾
(
あ
)
が
白き髄
12
キジトラの シマシマなぞって どこまでも ほっぺにゴール 歯形は褒美か
10
厚き布
吾
(
あ
)
が
形
(
かた
)
を沿えクリスマスソングなんか聴きたくない夜もあるだろ
6
前触れなく始まる冬に刺されつつ 柔らかき手に白き吐息を
17
木犀花冷えた月光乗せて我が鼻腔を満たす最後の夜に
10
10年後
秋
(
きみ
)
はいるかと 思い馳せ 頬を撫で去る 冷たき吐息
10
間違えて 過去に降り立ち その渦に 身を投げたいと 思うキタルファ
6
親の
背
(
せ
)
は
永遠
(
とわ
)
に大きい わけじゃない 空き缶が守る 小雨の湖
11
美しき 国に行きたい 足枷は 美しき風 美しき風
7
夜に刃を 当てて君の
形
(
か
)
削り出す 波打つ皮膚に 降るは星屑
6
濃紺の 世界に私 ただひとり 似た色を持つ 君だけが好き
12
おにぎりと 出汁巻き唐揚げ ミニトマト 半透明の 王国に蓋
13
生温
(
なまぬる
)
い 塩素の底で 息繋ぐ 瓜二つなる 傷を合わせて
6
大丈夫 ここには誰も いないから 口へ含めよ 無数の氷河
10
腕伸ばし 吾の
橙
(
だいだい
)
を
水色の 空に溶かせよ 人無きクレーン
12
瞼閉じ
首
(
こうべ
)
を垂れて 祈りけり 排水溝に 墨汁の黒
13
透明の 無数の傷に 雨染みて 我が
雉虎
(
キジトラ
)
の 黒をなぞりぬ
12