Utakata
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早瀬野卑
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無知の国戦争虐殺糧として 繁栄したる末路の地獄
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芯の無い抜け殻頭が群れている 街は収容所となりにけり
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平地よりはるかにのぞむ山庭に 霧はたぎりて神代あらわす
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湖に流れいる川渡りつつ つかの間見えし雲霞の境
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いつの世も民を犠牲のこの国の ただ山々の緑したたる
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何事も成せず転げまわった 父の人生を継承す
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物思いその夜の夢にあらわれて 言いようもなき風景となる
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はらわたを潰されてゆく国に生き 一粒の麦は皆枯れ果てぬ
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夢を追い幻を見て恋い焦がれ 孤独なラジオのように生き
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もの食って精液出して糞をして 分泌こそが人のすべてか
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離れると決まればいとおし 故郷の荒れも果てたる人と土地さえ
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時は来た反乱星らよ旗立てよ 悲嘆絶望出発の風よ
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天晴れて光射せども心死し ただただ風にうたれるばかり
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物語フィルムはすでに巻き終わり 亡霊の如く我ら漂う
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村上に水良き小さな井戸ありて ころころ奔る小川の夢見し
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アル中の友に心で問いかける 我らの秋はすでに終わりしか
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死の意味や生きる意義など喪いて 人は遺伝子の鞘となり
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還りこぬふるさとのすべて託されて 小さな宇宙を立ち上げる
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死にかけの父の長屋の住人が おっちゃん元気かと声かけくれる
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その下に湖はあり奔る雲 照り返されて時を越え行く
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このごろは土這う草も愛しけれ 旅は終わりて地は丸ければ
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地上は静か野山は黙し 陽だまりが旅人のようにさすらう
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つらくともいのちそまつにするなよと ひゃくねんまえのそせんのこえがして
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御茶ノ水改札一歩踏み出せば 身体の奥よりほっと熱い息
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呆然と流されてきてふるさとの 荒れ果てし野にわれ一人立つ
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時は来て流木岸に打ち上げて 大海の夢南風の記憶
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くしゃくしゃのビニールで文庫を包む 自分が旅の最中と気づく
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縁深き友と再び会いし夢 時空飛びても僕らは変わらじ
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鴨川に側溝白く流れ入り 今日一日も久遠となりぬ
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パシッとコーラ開けて飲む 青春のまま老いてゆく
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