Shikimi Shakko
その皮を穿くことは無いだろう 蠢け 喚け 赦すことなく 3
八月の柱があった広場には 緑化してゆく鐘だけが鳴る 1
支配者の白く佇むその耳に 消えゆく沙漠の左辺を想う 0
干乾びたリボンを幾度も踏みつけて 糸は解れて昇り蝕む 1
押し花の輪郭はふと粉になり 矩を形どり脚に絡まる 4
ちかちかと歌う骨ども吊るされて 抱えそびれた熱撒き散らす 2
針山の尖頭熱して睥睨し 翡翠の足は砕ける刺さる 1
祈るよう青の隙間を割いた痕 キャンバスはまた拡張される 1
ヨルガオのふとした涙に背を合わす 錆びたフェンスが忘れえぬよう 2
項垂れる首刻々と色褪せて 去らぬ様にと陽射しは背を責め 0
罅割れた土 戯れに水をやる 少女に還ることのない花 1
髄液の底で揺蕩う霧状の記憶を求めて画面をなぞる 3
たおれゆく琥珀が燿う箱庭で 足を持たないトルクが響く 0
抜け落ちた前頭葉とZ軸へ肥えてゆく赤茶けた輪郭 0
傷のない卵殻の中 よく喋る都市を少女は片手で統べる 4
痩せこけたまなぶたの下 よこたわる粃 静かに背中をみつめる 1
骨ばった指を蝕む蔓草()の先で腐臭を撒く合弁花 0