成久敦也
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秋深み草葉(くさば)の衣零(こぼ)れ果て露はになりぬ山ぞ寂しき
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思ひ出す浜の秋風浦の里安芸(あき)の秋にも風は吹けれど
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雁(かり)のごと都を落つる旅の空夕日を慕(した)ひ宿や定めむ
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朝日さす東の空を遠くして西の空辺(そらべ)に暮るる我が身ぞ
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夏草の色ぞ染めにし空蝉(うつせみ)よひぐらしの声秋を待つらむ
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静かなる瀬戸内海(せとうちうみ)の彼方にも望む島々大和なりけり
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願はくは今一度(いまひとたび)の春を得て過ぎし悔ひ路を辿り行かまし
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薫(かお)り立つ煙の中に光る灯は仄(ほの)かに揺れて今に消えなむ
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夏の夜は短きものと知りながら涼しき月の惜しまるゝかな
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月照らす稲の花よりかはず声姿あらねどいとど恋しき
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厳島(いつくしま) 驕(おご)りて去りし波のごと平家(へいけ)の跡に人は酔ひつつ
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天の川涙の雨にあふれつつ橋も渡せぬ君ぞ恋しき
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川の辺に匂ふ菜の花五月雨(さみだれ)に濡れにぞ枯れし春は過ぎゆく
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君見れば憂(う)き世も晴れて咲き渡る椿(つばき)の花の色ぞ変はらず
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君が声忘れじものと刻みける胸の内にぞ傷は残れる
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摘(つ)めねども香ぞ残りける恋の花煩(わずら)はしくも美しきかな
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五月雨(さみだれ)に濡るる紫陽花(あじさい)色深み君が心の移ろうものかと
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霧深み我が旅の路(みち)見えなくに路傍(ろぼう)の花は美しく見ゆ
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何処(いずく)にか君がおもかげ誘ひ去る春の東風(こち)こそ花を散らしつ
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廣島の土に芽生(めば)ゆる新樹(しんじゅ)かな根本深きに屍(しかばね)抱きて
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寄せ返す波のうへにぞ揺らぐ月夢と見えつつ及ばぬものを
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風薫(かお)る皐月(さつき)の空に遅桜人目もあらでひとり散り失す
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世の中は川の流るることながら水に砕(くだ)くる巌(いわ)も在りけり
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武田山古戦(こせん)の跡を偲(しの)ぶれば澄み咲き誇る勿忘草(わすれなぐさ)よ
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春の世にひとり佇(たたず)む夜桜の散りゆく様は夢にこそ似る
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降り頻(しき)る雨に打たれし桜花(さくらばな)色落ちもせず散りもせぬかな
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川の辺(べ)を遡(さかのぼ)りてはおもほゆに幼心の澄みしおぼえを
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葛(くず)の香は悪(あ)しと厭(いと)うも見返せばなほその色ぞ美しきかな
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いつ見ても 清流 (せいりゅう)にして三篠川(みささがわ)我が心にも派川(はせん)を給(たま)へ
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待ち人よ待たれる人は今何処(いずこ)雪積もる道足跡も無く
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