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成久敦也
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二十八歳資格浪人生
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思ひ出す浜の秋風浦の里
安芸
(
あき
)
の秋にも風は吹けれど
8
月追ひし都を落つる旅の空夕日を
慕
(
した
)
ひ宿や定めむ
7
朝日さす東の空を遠くして西の
空辺
(
そらべ
)
に暮るる我が身ぞ
6
夏草の色ぞ染めにし
空蝉
(
うつせみ
)
よひぐらしの声秋を待つらむ
7
静かなる
瀬戸内海
(
せとうちうみ
)
の彼方にも望む島々大和なりけり
7
願はくは
今一度
(
いまひとたび
)
の春を得て過ぎし悔ひ路を辿り行かまし
9
薫
(
かお
)
り立つ煙の中に光る灯は
仄
(
ほの
)
かに揺れて今に消えなむ
5
夏の夜は短きものと知りながら涼しき月の惜しまるゝかな
5
月照らす稲の花よりかはず声姿あらねどいとど恋しき
6
厳島
(
いつくしま
)
驕
(
おご
)
りて去りし波のごと
平家
(
へいけ
)
の跡に人は酔ひつつ
9
天の川涙の雨にあふれつつ橋も渡せぬ君ぞ恋しき
11
川の辺に匂ふ菜の花
五月雨
(
さみだれ
)
に濡れにぞ枯れし春は過ぎゆく
6
君見れば
憂
(
う
)
き世も晴れて咲き渡る
椿
(
つばき
)
の花の色ぞ変はらず
14
君が声忘れじものと刻みける胸の内にぞ傷は残れる
7
摘
(
つ
)
めねども香ぞ残りける恋の花
煩
(
わずら
)
はしくも美しきかな
6
五月雨
(
さみだれ
)
に濡るる
紫陽花
(
あじさい
)
色深み君が心の移ろうものかと
5
霧深み我が旅の
路
(
みち
)
見えなくに
路傍
(
ろぼう
)
の花は美しく見ゆ
11
何処
(
いずく
)
にか君がおもかげ誘ひ去る春の
東風
(
こち
)
こそ花を散らしつ
12
廣島の土に
芽生
(
めば
)
ゆる
新樹
(
しんじゅ
)
かな根本深きに
屍
(
しかばね
)
抱きて
15
寄せ返す波のうへにぞ揺らぐ月夢と見えつつ及ばぬものを
6
風
薫
(
かお
)
る
皐月
(
さつき
)
の空に遅桜人目もあらでひとり散り失す
19
世の中は川の流るることながら水に
砕
(
くだ
)
くる
巌
(
いわ
)
も在りけり
14
武田山
古戦
(
こせん
)
の跡を
偲
(
しの
)
ぶれば澄み咲き誇る
勿忘草
(
わすれなぐさ
)
よ
9
春の世にひとり
佇
(
たたず
)
む夜桜の散りゆく様は夢にこそ似る
15
降り
頻
(
しき
)
る雨に打たれし
桜花
(
さくらばな
)
色落ちもせず散りもせぬかな
9
川の
辺
(
べ
)
を
遡
(
さかのぼ
)
りてはおもほゆに幼心の澄みしおぼえを
10
葛
(
くず
)
の香は
悪
(
あ
)
しと
厭
(
いと
)
うも見返せばなほその色ぞ美しきかな
9
いつ見ても
清流
(
せいりゅう
)
にして
三篠川
(
みささがわ
)
我が心にも
派川
(
はせん
)
を
給
(
たま
)
へ
10
待ち人よ待たれる人は今
何処
(
いずこ
)
雪積もる道足跡も無く
10
古
(
いにしえ
)
の
栄
(
さかえ
)
し村も今は
唯
(
ただ
)
雨降り溝に水が流るる
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