山本千景    フォロー 65 フォロワー 37 投稿数 400

93年生。歴史小説とファンタジーと少しの不思議で育ちました。古典和歌と唐詩、蕪村が好きです。近代詩と現代詩はまずまず。前登志夫、岡野弘彦、高野公彦、永井陽子。(環さんへ。連作表示に対応予定とのこと、楽しみです。さらに詞書にも対応していただけると小躍りします。)随想録……https://kyogoku-korin.hatenablog.jp 未来短歌会の紀野欄を休会中。

適當に生きゆくことのすがしさを込めて皆で言はう 知らんけど 

あるだらう、さういふことが貴方にも。大した意味のない「知らんけど」 

去り際にお気をつけてと言ふやうなときにも少しだけ 知らんけど 

買ひまはりしてゆくときの勘定に疑ひあれば言ふ 知らんけど 

付きまとふ不安の種を祓ひうる祝詞のごとく言ふ 知らんけど 

責任の在り處はつらきものなればすかさず添へて言ふ 知らんけど 

抽斗はまだまだあるで。本物の口語ッちゆうのは方言放言のこッちや。 

お前には見えへんねやこれが、日の蔭に慎ましくあるこの薄氷が。 

せやさかい、言うたやないか。その道はだァれもおらへん日蔭やッたて。 

恣意と自慰とのあはひに苦く佇めば天つ空より雪のひとひら 

待ち受けてゐるよつまらぬ日常の向かう日暮れてゆくことの詩が 

漢語ひとつを中核に置く試みの巧みなるとも諾とせざりき 

かつ結びかつ消えてゆく泡沫うたかたのやがてひとつがみ果つるまで 

端的にいへばなんにもしたくない 雑踏に擦り減りゆくこゝろ 

いたづらに眺めてけりな今し降る雨ひとつぶとなりてしたたる 

言葉さへなくなりゆかむ歌のため言葉紡げるわれぞかなしき 

にてで切る句切れあらはにつつかれて下を上へとげ替へにけり 

ば止め、て止めはとりあへずまづ叩かれてされど厭はずこゝろなりせば 

我が身とぞおもふ缺けたることさへもみちはつるけふの月をながめて 

われらみな山のうへにて枾みのる木のしたにこそ歌を詠むらめ 

住んでゐる世界が違ふ みづからの手で塗り込めし噓が匂へり 

淡墨うすずみのいろを纏へる心月をのぼりゆく紅梅の色彩 

たらちねの母に語りしたらればのどこにも乘つてゐないこゝろだ 

泡沫うたかたのつぶやきとなる歌といへど分子とはつね粒の集まり 

溜めといて結社に出せばと云ふやうなものにあらねば溢れてやまず 

伺候して學ぶは了へつ。今よりはわが學びしを返すときなり。 

燃燒、といへば哀しも。ゆるやかに薄まりてゆくわれの體積 

流れねば、融けねばならぬ。頑なとなるはあまりにおそろしければ 

負けず嫌ひの忘られにける〝ず〟のごとく頑なとなりゆくこゝろざし 

君に司會は向いてないよと言はれしにすこし見かへすべく歌會せり