山本千景    フォロー 65 フォロワー 36 投稿数 400

93年生。歴史小説とファンタジーと少しの不思議で育ちました。古典和歌と唐詩、蕪村が好きです。近代詩と現代詩はまずまず。前登志夫、岡野弘彦、高野公彦、永井陽子。(環さんへ。連作表示に対応予定とのこと、楽しみです。さらに詞書にも対応していただけると小躍りします。)随想録……https://kyogoku-korin.hatenablog.jp 未来短歌会の紀野欄を休会中。

ひかりにもやみにもなれずゆふぐれはわたしのかげにまだすがりつく 

光にも闇にもなれず色彩を奢侈の極みと看做みなして風は 

光にも闇にもあらず吹く風は星の爆ぜたる名殘りなりけり 

ひぐらしの鳴く音を聽かな百日紅散りゆく樣を火花と見つゝ 

むらぎもの心のどかにまどかなる氷のうへをひびあらはなり 

かたはらに林あらねばひぐらしの祭囃子の音も聽かれず 

同じはうを向いてゐないと知りながらすべてつもりであつた私だ 

ためいきがもう冬の色。閉ぢた目にいちいち浮かぶ裸木あはれ 

いつからかサラマンドラになつてゐた。みんなみーんな燃えてしまつた。 

どうせみんな死ぬんだ、なにをそんなにも息巻いてひとを巻き込んだのか。 

どうせ僕は鄙びてるんだ、ああさうさ。熱を祕めたるひとが雅だ、死ね。 

酒瓶が手もとにあれば壁に向けて降り下ろし眼を潰しただらう 

金蚉の屍となるまでを眺めたり疾く秋茜飛びつるなへに 

盡くすべき相手のゐない生活を米を炊くことからはじめよう 

古文書の切れ端に手を觸れてゐる魔王を倒す旅の途中に 

眼球はジャイロ 貴女を視るために眼差しは仕組まれてゐたのだ 

話しても話しても話し足りなくてつひに言葉を忘れてしまふ 

大坂は星の見えない街なので月の語れるこゑぞさやけき 

音はひかりに光はおとにThe Durutti Columnドゥルッティ・コラムに潛む魁夷を想ふ 

寂寥のまほらへ向けて風が吹く。ほら、病葉わくらばがひらりと落ちた 

350mlスリーファイブオーエムエルの缶ビール手に君の夜へと雪崩れ込めたら 

斃れにし目白一羽を夏草の茂みのなかに置きて來にけり 

屍はいまだほのかに暖かくいつ冷ゆるとも知れぬともしび 

世界樹の芽はきざしたりとこしへにまなこ閉ぢたる目白のせな 

掌にいと軽ければたまきはる命ならむとこそ思ほゆれ 

生くるとはいつ訪るるとも知れぬ地震なゐに遭ふよりまへのひび割れ 

身のほどを人に知らゆな燦めきて綾なる鞘のうちのなまくら 

ししむらの牢に糸引く感情が呼気にもなまぐさく花と咲く 

ゆふぐれの、思ひ出すにはあまりにも暗く短い隧道だつた 

あなや暑、入道雲ぞ目覺ましき。朝も早うに今樣を讀む