檜山流霞    フォロー 57 フォロワー 33 投稿数 307

93年生。歴史小説とファンタジーと少しの不思議で育ちました。古典和歌と唐詩、蕪村が好きです。近代詩と現代詩はまずまず。前登志夫、岡野弘彦、高野公彦、永井陽子。(環さんへ。連作表示に対応予定とのこと、楽しみです。さらに詞書にも対応していただけると小躍りします。)随想録……https://kyogoku-korin.hatenablog.jp 未来紀野欄

瞳より溢るるなかに一粒の菫靑石アイオライトの落つるを見たり 

闇の彼方に非在の聲のとよむとき手のうちに黑曜石オブシディアンの刄 

菌蕈くさびらに木はほろぼされ人も絕え翡翠輝石の杜の慟哭 

逢ふたびにかすか仄めく火蛋白石オパールの移ろふ色にほだされてゐる 

幻となつてしまへば 雨止みの刹那に置いてきたものがある 

自動車に橫ざまに突つ込まれながらカネの心配ばかりしてゐた 

「鉤括弧、句點。讀點、順序よくひしめいてゐる。」恣意の殘照 

添へ物の月があまりに眩しくて消え失せてゐる星の瞬き 

その幅と同じくらゐの石のせゐで、川の流れは堰き止められた。 

言ひ過ぎてゐるのだらうな夕燒けも虹もきらめく海も夜空も 

熟れるのを待つてゐるのだ落ちるまで强いて捥ぐのはやめにしないか 

天霧らふ刹那的なる来し方はいつとも知れず暮れ果てにけり 

わだかまる心の奧の霜燒けにあすも燒稀やきまれかたむけてゐる 

底冷えの諸手もろてに包むお湯割りの三岳、石燒き芋のごとしも 

六調子ひと昔まへの心にて球磨の銘酒の杯を干したり 

わが死なば梔子くちなしの花をたてまつれ口下手のまま過ぐし来にけり 

夜もすがら四方よもより伝ふ雨音の見ぬ世の人のこゑにかたむく 

水底に探るわたしの斷片の、どれが私と言へないままで 

なにゆゑにさう思ふのかと訊かれたるしどろもどろに降る牡丹雪 

夢に見しヒエログリフはいにしへの歌のごとしも懷かしきかも 

野晒しの雲の古巢に露の玉しばらくは月の夜を留まれ 

軋轢と齟齬にまみれて過ごす日は梨ひとつ朽ちてゆくかのやうに 

フィブリンがそこに根を張る常綠の木はわがうちに向けて伸びゆく 

気掛かりも心殘りも一条ひとすぢに縫ひ留められて灼かるるごとし 

あかねさすうすむらさきの錠劑は明日へとつづく麻醉だらうか 

行く秋の山を見るさへあたはねば窓邊はすでに雪のまぼろし 

脊椎は樹木の名殘り にんげんがまだ人閒にならないまへの 

にんげんの時閒はわれに速すぎて樹木の時閒をかくも戀ほしむ 

狐火の燃えつくばかりたましひは搖らぎめたり冰雨のなかに 

むらさきがやがてあかねもしこめて閉ざしゆかなんあめのまぶたも