えんとつカフェ  フォロー 28 フォロワー 28 投稿数 98

気ままに営業してます。

風船を澄んだ朝へと解き放ちそらの高さを確かめている 

オリオンはリボンのようできみが手を伸ばして澄んだ星空に結う 

ゆうぐれのジャングルジムから飛び降りるきみの背中にあった永遠 

夏服の少女が木陰駆けるときスカート魚のひれの揺らめき 

約束をかわす小指のかたちして水鳥たちは水面を覗く 

肩ごしの雲がつばさに見えたからあなたはきっと夏の住人 

まどろみのなか両耳は貝になり雨はしずかな波音になる 

公園のしたに秘密の町がありジャングルジムから飛べれば行ける 

ひかり透く水の清さをいろはすはトンボの翅の薄さでつつむ 

ゆっくりと電信柱は歩きだす移動してゆく月にあわせて 

水平にポストに入れる恋文のきみへの思いこぼさないよう 

溶けだした今日のすべての悲しみを消し去るように湯の栓を抜く 

雨音がきみのことばを隠すからきみの本当の声が聞こえる 

まだ誰も借りたことない植物の図鑑のように少女は眠る 

海岸に捨てられている揺り椅子にときおり風が座りては去り 

足音もあまたの影も消え去って地下鉄ホームは夜に浮く島 

ベランダの陶器のみずにモンシロチョウ群れて四月の青空を吸う 

共犯者になって窓辺の瓶に挿す花ぬすびとのきみ手折る桜(はな) 

煙突が月のひかりに照らされて船めく窓の焼却施設 

缶ビール飲み干しこたつに寝ころべば猫のひたいほどの幸せ 

春風も通過してゆく陽だまりに猫ばかりいるシャッター通り 

コイン投げるように汽笛を上げ汽車が誰かの旅のはじまりを告ぐ 

さらさらと落つ水音に目覚めれば窓に傾く柄杓の星座 

きみがする青いピアスは揺れるたびぼくのこころで海を奏でる 

坂道をころがってゆくコーヒー缶からんからんと夜の音階 

ペダル漕ぐ速さで春はやってくる髪のリボンを風に泳がせ 

恋文の言葉が重くすこしだけ傾いで月を眺めるポスト 

月までは歩いて十年 満ち欠けをきみとながめて歩くのもいい 

窓に月差してあなたのつかの間の眠りに青い毛布をかける 

弦を弾くきみのゆびさき月のように光りわたしを夜にいざなう