えんとつカフェ  フォロー 30 フォロワー 30 投稿数 117

気ままに営業してます。

三ツ星の店みたいだと笑むきみとオリオンのした分ける肉まん 

石ころを蹴って歩いて大人でも迷子になりたい夕暮れがある 

ドングリがころり転がるおそらくは猫バスだろう突風が過ぎ 

背の高いきみから秋になるらしい寝癖でくるりまわる木枯らし 

貝殻はいつかながれた流星の記憶を抱いて浜辺でひかる 

仏壇で問わず語りの祖母はまだそらを隔てた恋をしている 

青春のあわい青さに染められた栞がおちる卒業文集 

風にのりコンビニ袋がこの街のため息のように真夜中を舞う 

原っぱを朝に歩いてコオロギが忘れていった楽器を拾う 

うつくしいままでいられずソプラノの声と翼を少年は脱ぐ 

閉館のチャイムが鳴って本が葉に戻されてゆく森の図書館 

きっとそう誰かのなつの墓標だろう砂にささったハズレの棒は 

泣きたくてかけたレコード針がとび悲しみだけをリフレインする 

背にひかる肩甲骨は少年のなつを知ってるつばさの名残り 

ドングリは秋の森への道しるべころりときみの窓に置きます 

ドングリは山猫だけが解読をできる小さな森からの文 

音だけを辺りに撒いて外灯のひかりの檻に囚われる雨 

カレンダーの船の写真をそっとなで貿易風になる夏の風 

森に似たしずかな室で蝉になりレントゲンの木立にとまる 

埋め立てた更地をしばし青々と凪いだ海へと帰す月光 

ゆく夏を巻き戻すようリール巻く水辺の焼けた少年の腕 

息吸えば煙草の先があかあかと灯ってなつの闇を濃くする 

サイダーの壜に蓋して閉じ込める線香花火ときみと八月 

便箋にとまるとんぼの透きとおる影ごと送る残暑お見舞い 

夏の夜のおとぎばなしをめくるよう屋台のあかり次々灯る 

夏休み来るたび過ごす灯を消せば蛍の宿になる祖母の家 

木の幹に立てたギターを葉の影がつま弾く夏の午後の微睡み 

一行の短歌のように雨空を見上げしずかに道に立つきみ 

テーブルのポテトチップス荒天の海に似ていて波頭をつまむ 

古書店の棚をするりと抜けだして歩くいまだに名を持たぬ猫