えんとつカフェ  フォロー 40 フォロワー 40 投稿数 142

気ままにまた営業してます。

お茶碗の土に枯れ葉のかつ丼で自供をせまるこども警察 

月食がはじまってから終わるまでほんのり光る棚のオカリナ 

ジャイアンもひとり土管に座りこみ星を見上げる夜くらいある 

未練などないよと今日も妹がベランダに干す黄色いハンカチ 

黒猫のあるいた跡が星になるたらいのミルキーウェイを舐めて 

好きという文字がこぼれているような気がして何度も覗く封筒 

波音が聞こえるという真夜中の駅のはずれのコインロッカー 

自転車にはじめて乗れてともだちのリストに風も入れた小三 

もう場所も忘れた森の隠れ家で一番星に吹いたハモニカ 

そらを見る人それぞれにそれぞれのあの夏があり快速が着く 

円盤に襲撃されるひとのように猫はルンバに追いつめられる 

満月がきれいな夜は夢を出てトタン屋根から猫と見上げる 

廃校の図書室にある詩集からこぼれて花になりゆく言葉 

この町のかたちは猫に似てるので時々地図から消えたりします 

持ち主のまどろむ隙に本をでて名のない猫も散歩する春 

捲られる季節に雪のひとひらの栞をはさみ冬を詠むきみ 

段ボールだらけの部屋でオープニングテーマのようにかけるミスチル 

その通り、わかりますよと遠吠えにしきりに頷く窓の赤べこ 

日焼けした肌が剥がれて少しずつぼくがおれへと脱皮した夏 

幼くて恋をしらない甥っ子はデートのことを遠足と言う 

思春期のしっぽをそっとスカートに隠してきみは大人に化ける 

去年よりおとなの薄いカルピスがカランと夏の予鈴を鳴らす 

むねにある銀のちいさな鳥籠でことりのように飼っている恋 

三日月の舳先に籠をかけ歌を思い出すまでカナリアを飼う 

触れていた頬にさわって思いだす膝や背中や胸のぬくもり 

都会から町へ村へと進むたび車窓にひとつ星座がふえる 

押入れのコタツにもぐる冬休みキャラメルコーンと星座の地図と 

書くことをやめた詩人が一行の詩のように立つ冬のベランダ 

走り去る車がのこす静けさと潮騒を聴く海辺のポスト 

少年が吹く横笛にごくたまに小鳥が一羽とまるマネの絵