えんとつカフェ    フォロー 53 フォロワー 54 投稿数 178

気ままに営業してます。

飲みかけのラムネを揺らし聴いている少年だった日の夏のおと 

悲しみの果てには小さな駅があり帰りの汽車が待っててくれる 

人絶えた夜の舗道に落ちているビー玉なつの形見に拾う 

ポケットに2つ入れてるドングリは森への2人分のチケット 

てっぺんで口笛を吹くきみがいてジャングルジムは完成される 

図書室のまえの知らない花の名を貸出カードのきみの名で呼ぶ 

妖精でなくて人だと知りたくてきみのうしろで踏む自動ドア 

目が覚めて浮かぶねむりの水底でぼくの帰りを待ってる悪夢 

しなやかな指であなたが波のように鍵盤を弾き海にする部屋 

ゆっくりと読むムーミンの谷に降る雪が部屋にも降り積もるまで 

胸に飼うさびしさというペンギンにミルク氷で降らせてる雪 

地下鉄の線路はときどき異次元に逸れるが誰もそれをしらない 

カーテンが波のリズムでゆれる夜はたぶん外まで海が来ている 

花の名を薄着でつつみ真夏でもきみは一輪挿しのすずしさ 

母親にかえりたいのか迷いこみ蛍がねむるコイン精米 

ことばにはできない海をみせたくて青絵の具だけ塗った絵ハガキ 

月がはく吐息で床に林檎落ちさらにしずかになる静物画 

アマガエルひと色なれど雨後の葉をゆらし小さな虹として跳ぶ 

ベランダの風のやわさを記憶して少女をふわり包むブラウス 

亡骸のすずめをくわえ草のうえ寝かすリードの先の慈愛は 

食べ終えたぶどうの皮を吐ききみは夜にむらさきの色を付け足す 

この星の寝息のような波音をながす終わったあとのFM 

口笛でだれかが飛ばすさびしげな色の音符を拾うまよなか 

紛れれば夜はやさしく包みこみ影もじょうずに隠してくれる 

ねむれずに夢になれない夢の数かぞえるような真夜の踏切 

そこに行く理由はいろいろあるけれど海は問わずにただ波を寄す 

ゆく夏の忘れものです潮風をくぼみにためる麦わら帽子 

こわれてるオルゴールからあふれだす音色は母の耳だけで鳴る 

てのひらに液晶のある未来ではさよならのたび舞い飛ぶほたる 

鳥よりも先にみなみの国からの花嫁がきて町に告ぐ春