えんとつカフェ  フォロー 36 フォロワー 36 投稿数 130

3月末をもって営業を終了します。ご愛顧ありがとうございました。

廃校の図書室にある詩集からこぼれて花になりゆく言葉 

この町のかたちは猫に似てるので時々地図から消えたりします 

持ち主のまどろむ隙に本をでて名のない猫も散歩する春 

捲られる季節に雪のひとひらの栞をはさみ冬を詠むきみ 

段ボールだらけの部屋でオープニングテーマのようにかけるミスチル 

その通り、わかりますよと遠吠えにしきりに頷く窓の赤べこ 

日焼けした肌が剥がれて少しずつぼくがおれへと脱皮した夏 

幼くて恋をしらない甥っ子はデートのことを遠足と言う 

思春期のしっぽをそっとスカートに隠してきみは大人に化ける 

去年よりおとなの薄いカルピスがカランと夏の予鈴を鳴らす 

むねにある銀のちいさな鳥籠でことりのように飼っている恋 

三日月の舳先に籠をかけ歌を思い出すまでカナリアを飼う 

触れていた頬にさわって思いだす膝や背中や胸のぬくもり 

都会から町へ村へと進むたび車窓にひとつ星座がふえる 

押入れのコタツにもぐる冬休みキャラメルコーンと星座の地図と 

書くことをやめた詩人が一行の詩のように立つ冬のベランダ 

走り去る車がのこす静けさと潮騒を聴く海辺のポスト 

少年が吹く横笛にごくたまに小鳥が一羽とまるマネの絵 

はくちょう座をつなぎ相合傘にしてそっと名を書く冬の織姫 

消し忘れられた座敷の豆電球そっと見守る亡き祖母に似て 

駅ごとに子供のわたしを脱ぎ捨てて大人になって降りる東京 

遠吠えはさびしい月ではねかえりさびしいぼくの窓辺に届く 

いつの日か星のひとつになるだろう聖夜にきみが吹いた口笛 

なにもない部屋だし棚のプーさんを森に帰して済む大掃除 

ふるさとを遠くはなれて住むぼくに夜汽車がはこぶシロの遠吠え 

夜の川に壜を差し入れ星々のきらめき掬いつくるサイダー 

風をゆく鳥につぶやく頑張れが窓で反射し自分に返る 

水たまりの数だけ月はあるらしい蛙は思い夜の畦を跳ぶ 

八月にきみとつくった砂山の遺跡をふゆの浜辺でさがす 

街路樹が秋の輪舞ロンドを踊りきるまで舞うことを雪はためらう