えんとつカフェ  フォロー 28 フォロワー 28 投稿数 98

気ままに営業してます。

鳥になどなれないぼくは口笛で十七才のこころを飛ばす 

さびしさという名をつけるこすったら掠れてしまうまひるの月に 

電線に夕のひかりを貼りつけてひととき町は鳥かごになる 

むくどりの絵柄の時計右腕でしずかに森の夕べを刻む 

星ひとつ窓にながれる鍵盤のさいごの音の余韻をつれて 

夕暮れのイギリス海岸貝殻の化石と賢治の足跡さがす 

燃やされた枯れ葉はやがて雨になり生まれた森の木々を潤す 

土にすら還れぬ枯れ葉のかなしみを貼りつけたまま革靴をぬぐ 

いつ見てもテナント募集の空き部屋に夕日がそっと間借りして住む 

うつくしい声を聞きたいから歌を思い出すまでカナリアを飼う 

フウの木の街路樹がある町並みを風に近づく歩幅であるく 

三ツ星の店みたいだと笑むきみとオリオンのした分ける肉まん 

石ころを蹴って歩いて大人でも迷子になりたい夕暮れがある 

ドングリがころり転がるおそらくは猫バスだろう突風が過ぎ 

背の高いきみから秋になるらしい寝癖でくるりまわる木枯らし 

貝殻はいつかながれた流星の記憶を抱いて浜辺でひかる 

仏壇で問わず語りの祖母はまだそらを隔てた恋をしている 

青春のあわい青さに染められた栞がおちる卒業文集 

風にのりコンビニ袋がこの街のため息のように真夜中を舞う 

原っぱを朝に歩いてコオロギが忘れていった楽器を拾う 

うつくしいままでいられずソプラノの声と翼を少年は脱ぐ 

閉館のチャイムが鳴って本が葉に戻されてゆく森の図書館 

きっとそう誰かのなつの墓標だろう砂にささったハズレの棒は 

泣きたくてかけたレコード針がとび悲しみだけをリフレインする 

背にひかる肩甲骨は少年のなつを知ってるつばさの名残り 

ドングリは秋の森への道しるべころりときみの窓に置きます 

ドングリは山猫だけが解読をできる小さな森からの文 

音だけを辺りに撒いて外灯のひかりの檻に囚われる雨 

カレンダーの船の写真をそっとなで貿易風になる夏の風 

森に似たしずかな室で蝉になりレントゲンの木立にとまる