晴れ女  フォロー 0 フォロワー 1 投稿数 24

物置き部屋。

いくつもの海をこへたる鳥たちが異国の言葉でうたふふるさと 

水茄子を半月に切ればこひびとの耳がどつさりちらばるゆふべ 

「ねえさんの彼女のつくるナポリタンまた食べたいよ」というと照れてる 

はんぶんはイオンになつたこの町の痛点として残る古書店 

海のうへ花火まつすぐのぼりゆきこの世とあの世のさかいをつくる 

予知できぬゲリラ豪雨のごとき子と入道雲に住む夏休み 

ペン売り場のだれかの「死」が震へてゐてかはいさうだから「死」をひとつたす 

この星のまるいかたちを知る犬が水平線を尻尾でなぞる 

この海をわけてやらうといふやうに猫が鎮座す漁港の突堤 

息をするたびにいのちを吐き出して老犬はただ生きる夏の日 

夏光る 学生たちは聴診器手であたためて新生児室 

あの雲にスカイツリーを突きさして綿飴みたいな夏をいただく 

千羽鶴もさびしいだらうあの青を飛ぶこともなくみつめる夏は 

社外秘の資料かかへるやうにしてケーキかかへる帰宅の列車 

しんしんと肺白みゆき病むひとのなほ白みゆく便りの余白 

産んであげられぬ子の名いくつか思ひつくイオンのフードコートにゐて 

看護師を先生とよぶ病棟の子らとつくるボトルロケットよ、飛べ 

ゆふまぐれ水蜜桃のやはらかな生毛の痛みのごとくさびしい 

かすみ草えらぶときには吾に眠るこころのうちなるをとめが光る 

七夕のねむれぬ夜のミルクからひろがる夏の銀河の予感 

おもふままにうたへばいいよと海風がをしへてくれるふるさとの夏 

あかねさすクリームシューは血だまりのごとくたたずむゆふひの居間に 

ドングリは秋が落とした句点だね。もうすぐきみはさびしさを知る 

夏といふ夜汽車が星を撒いてゆくねむれぬひとにとどきますやう