えんとつカフェ    フォロー 29 フォロワー 29 投稿数 114

ドングリ県山猫町在住。

飲み込んだことばも吐いて青空で風葬するため飛ばす風船 

想像のつばさをオプション装備した自転車なので夢で飛べます 

獣の字の端にいて獣をぬけるチャンスを狙ってる犬 

お茶の間で鍋する窓が蟹たちのなみだで濡れることも気づかず 

夜光虫そっと波間に灯りだし人魚はじぶんの涙に気づく 

お馬鹿だし遠くに投げたかなしみも無邪気に咥えてきてしまう犬 

断りもなくまた秋が去ってゆく枯れ葉の名刺ベランダに置き 

さびしいと記して折った飛行機をとばせばもっとさびしい夜更け 

エンジンの余熱でねむる野良猫の夢だけ春へジョルノは運ぶ 

描いたけど見せられずいる似顔絵が想像上の生き物になり 

ドングリをバスの座席に置いて子はやさしい気持ちおすそ分けする 

ひさびさに開く本では文字たちがあわてて整列する音がする 

耐えきれずトイレに行ってテーブルの黒エビスだけ見ていたゴール 

秋風が木枯らしになり人知れず枯れ葉は最初の円舞曲ワルツを踊る 

絵の具借りきみが見ている涼しげな青で九月の海辺を描く 

掴みたい夢がきみにはあるようにぼくに触れたいモフモフがある 

屋根裏に魔女がいそうな家なのに魔女がいなくて借りそびれてる 

赤や黄のモミジが散ってゆく道を万華鏡のなか行くように行く 

縄張りの確認をする犬のように故郷の変化をチャリにて巡る 

パソコンをつけたまま寝て間違えて誰かの夢にログインしてる 

きみからのお勧めばかりで本棚が優しいことばに占領される 

重ね置くルイス・キャロルは真夜中に不思議の国への階段になる 

鳥のように音が並んだ小窓から飛びたつ銀のハモニカ吹けば 

密輸するようにリュックを子は抱え300円越すおやつを運ぶ 

貝殻を電話のように耳にあて海に居留守を使われている 

人ごみできみの声だけ掬うため耳はスプーンのかたちをしてる 

一本ずつクレヨンを買いこの町の文具屋ぜんぶ縄張りにする 

ひとつ増えひとつ消え去り星空で神様たちがしているオセロ 

洋上で生まれて消えた台風の隠し子みたいに着いたヤシの実 

カーテンの隙間にうかぶ満月に夢を覗き見されてる夜更け